厚木市上依知の江戸屋養豚場(古性忠一代表)が、食品の安心・安全を確保するための国際標準となる「農場HACCP(ハセップ)推進農場」の指定を受けた。全国にある他の24農場とともに、国内初の指定となる。
HACCPとは「Hazard Analysis Critical Control Point」の略。食品の安全性を管理する上で、重大な危害となりうる要因を特定・評価し、コントロールする手法を意味する。もともとは宇宙食の安全性確保のためにアメリカで考えられ、現在は世界各国で採用が推奨されている。いわば食の「ISO」のようなものと言える。
その中でも農場HACCPは、牛・豚・鶏の農場が対象となる。まだ農林水産省による認証開始への環境が整っていないため、一定の基準を満たした農場を今回初めて、(社)中央畜産会が「推進農場」として指定することとなった。
江戸屋養豚場は三代続く養豚場。JAあつぎの夢未市で店頭販売しているほか、市内の飲食店との提携も行っている。
農場HACCPに取り組み始めたのは、夢未市のオープンを控えていた2010年の1月。出店へ向け、消費者に商品の安全性をアピールする上で裏付けにできるものを探していた。その折、農場に出入りする獣医から制度の存在を知り、導入をめざすことになった。
家族4人のスタッフでHACCPチームを作り、3代目の小原光貴さんがリーダーに就任。危険要因の設定や作業工程の文章化、予防のための管理システムの構築などを進めていった。
中でも苦労したのがさまざまな記録の作成。明確な基準がなかったため、自分たちで大学ノートに注射針や薬品の管理、飼料の製造記録などをまとめた。
第三者機関による外部検証などを経て、今年3月末には申請書を中央畜産会へ提出。5月25日付で農場HACCP推進農場に指定された。
個人農場での指定は快挙
今回指定された25の農場は、数万頭の家畜を有したり、企業が運営しているものがほとんど。厚木市でも養豚診療専門の(有)豊浦獣医科クリニックが持つ試験農場が指定を受けた。
一方、江戸屋養豚場にいる豚は300頭で、従業員も家族のみ。こうした個人農場の推進農場指定は極めて異例のことで、小原さんも「まさか取れるとは、と周りからも言われました」と苦笑いする。その反面「家族経営の小規模農場でもHACCPに取り組めることを実証でき、やったぞという気持ち」と喜びを語った。
今回の指定は2年間。制度の本格始動への環境が整うのはそれ以降と見られている。小原さんは「言わばまだ仮免許のようなもの。認証制度開始に向けて、今後も改善点に取り組んでいきたい」と話した。
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