武田流の流鏑馬射手で、鎌倉まつりポスターに起用されている 秋山 和義さん 横浜市在住 40歳
「人馬一体」で挑む大舞台
○…姿勢を正し、時速40Kmで疾走する馬の上からわずか20cmの的を狙う。今月14日から始まった「鎌倉まつり」を締めくくる恒例の催し「流鏑馬神事」。21日に行われる大舞台に、武田流の流鏑馬射手の一人として今年も出場する。「鶴岡八幡宮での神事は、何回目でも身が引き締まる思い」と、本番を前に緊張の面持ちを見せる。
○…東京都出身。小学生の頃から歴史が好きで、日本史、世界史問わず勉強に熱中したという。武士や騎士への憧れから、馬術部のある拓殖大学に入学。「大会で記録は残せなかった」ものの、日々馬と触れ合う青春を楽しんだ。会社勤めを始めた頃、友人の紹介で流鏑馬の流派の一つ「武田流」と出会った。「鶴岡八幡宮の神事に参加できるチャンスがあるなんて」とすぐに入門。馬術の経験者ということもあり、早くも2年後の28歳の時に鎌倉まつりの流鏑馬神事に初出場した。「無我夢中で頭が真っ白だった」と当時を振り返る。
○…武田流で流鏑馬の技術を磨く傍ら、やりたい事には広く挑戦してきた。英語を習得するためのニュージーランドへの1年間の留学をはじめ、米軍基地での事務職勤務、経済学を追究するべく大学院に進学、さらに沖縄経済の研究を目的に琉球大学院へ入学するなど、好奇心の幅は広い。「広く浅くだったから、結局中途半端になってしまったものが多い」と苦笑いするも「流鏑馬だけは自分にとって自然な存在に。続けることが当たり前になっていた」と穏やかな表情で語る。
○…現在は労働組合連合会の職員として勤務しながら毎週末、仲間と練習に励んでいる。各地での神事は月に1回のペースであるので「定期的に本番が控えていると生活にメリハリが出る」と話す。流鏑馬歴は14年を数え、「気が付けばベテランの立ち位置に。でもまだまだ完ぺきできれいな所作には及んでいない。奢らず練習していく」と凛とした眼差しを見せた。