蘇峰堂特別展 東北人の偉功に学ぶ 後藤新平らの書簡など
二宮町の徳富蘇峰記念館で特別展「世界に誇る東北の偉人展」が始まった。帝都復興院総裁として関東大震災の復興計画を立てた後藤新平、『武士道』の著者で「われ太平洋の橋とならん」と志した新渡戸稲造、歌人斎藤茂吉らの直筆書簡などを展示している。
特別展では蘇峰と交流があった東北出身者を中心に紹介。内閣総理大臣を務めた原敬、『荒城の月』の作詞者土井晩翠、大正デモクラシーを先導した吉野作造の書簡、蘇峰から添削を受けていたという後藤新平の漢詩の軸などが並ぶ。新渡戸稲造の手紙は蘇峰の外遊に際して送った紹介状のようなもの。日本語の手紙のなかに英語で外国の番地や人名が所々記されている。
なかでも見応えがあるのは、観光パンフレットの風景画で「大正の広重」と呼ばれた絵師吉田初三郎の鳥瞰図『阿蘇大観図』。蘇峰の故郷である熊本県阿蘇を描いている。昭和20年2月から10ヵ月近くかけて制作され、熊本空襲をくぐり抜けた貴重な肉筆原画。あえて修復せず残したといわれる爆撃による傷や水田の泥水を被った痕跡、絵図に添えた空襲被害の詳細な記述などにも注目だ。
このほか、「不倒翁」と表した蘇峰の達磨絵や辰年にちなんだ書「飛龍乗雲」、版画家棟方志功の絵手紙なども。同記念館では「東日本大震災から間もなく1年。東北への応援を込めて企画しました。美術品を多く紹介しており、展示を通して先人たちの功績をたどってもらえるのではないでしょうか」と話す。期間は11月30日(金)まで。
徳富蘇峰(1863年〜1957年)は明治・大正・昭和にかけて文筆や評論、出版などで活躍した言論人。国民新聞社を主宰し、全100巻にも及ぶ『近世日本国民史』を著した。小説家の徳富蘆花は実弟。記念館は蘇峰の遺品や蔵書、原稿、各界要人からの書簡を託された秘書の塩崎彦市氏(故人)がこれらの資料を保管し、公開することを目的に設立した。記念館の庭園は梅の名所として知られている。
開館時間は月・水・金曜日の午前10時〜午後4時。梅の見頃にあたる2月は土・日曜日も開館する。入館料大人500円、中高校生200円。JR二宮駅北口から徒歩約12分。問い合わせは同記念館【電話】0463・71・0266まで。
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