宮前消防団長として地域防災力の向上に努める 井梅 均さん 野川本町在住 74歳
団長と総代、どちらも全う
○…9年間の副団長としての経験を買われ、4月1日付けで第10代宮前消防団長に就任した。昨年から野川神明社の総代としても活動しており、「消防団はそろそろ引退しようと思っていた」矢先の抜擢だった。115人の団員をけん引する史上最高齢での船出となったが、「まだまだ力はあるよ」。第一線は退いたものの、とび職としてならした体力が自慢だ。
○…野川小・橘中出身。養豚農家だった父がとび職に転じたのを機に、高校卒業後に家業に入った。ブタの飼育小屋は今でも、物置として使っている。当時は、公共下水道が整備されていない時代。浄化槽の整備の仕事で忙しかったという。「とびの仕事は見よう見まねで腕を磨いた。身軽だったから、家の骨組みを組み立てる建前には、よく呼ばれたよ」
○…父の勧めで25歳のときに青年会と若鳶会、そして消防団に入った。「人脈が広がり、仕事も遊びも充実していた」と当時を懐かしむ。消防団では3日間で4回出動したことや、8時間に及ぶ放水、建物の中で煙に巻かれて九死に一生を得たエピソードなど枚挙にいとまがない。宮前ではコロナ禍以降、操法大会を開催しておらず、若い団員の放水経験の少なさを危惧している。「いざの事態に備え、得点を競うのではなく、より実践的な訓練を行っていきたい」と抱負を語る。
○…頼まれると断れない性格。「やめると言っておきながら団長になって妻に怒られた」と笑う。散歩や地域活動が元気の源だ。「昨日は一輪車で神明社の砂利を撒いてきた。明日は雨どいに詰まった葉っぱを取り除くよ」とうれしそうに話す。「やるからには、どちらも任期を全うしたい」。消防団長と氏子総代の「二刀流」もまんざらではなさそうだ。
5月23日
5月16日