川崎市上下水道局は7月13日、昨年の台風19号で発生した山王町や下沼部周辺の浸水被害について、4月に公表した検証結果を報告する住民説明会を上丸子小学校で行った。今季の台風対策の進捗も報告され、住民からは九州豪雨を受けて、不安の声が相次いだ。
この説明会は新型コロナの影響で予定より遅れ今月の開催となった。説明会の冒頭で、上下水道事業管理者から住民へお詫びと見舞いが伝えられ「事態を重く受け止めている」と話した。職員が多摩川河川の逆流がおきた山王排水樋管ゲートについて、解析ソフトを使用した検証結果を改めて読み上げた。ゲート開閉についての操作手順を見直し、閉鎖の判断基準を設けたことを報告。
今年の台風シーズンに備えるための短期対策の進捗状況も確認。ゲートの電動化は完了し、水の流れる方向と速さがわかる観測機器や水位計、監視カメラを新たに設置したこと、遠隔制御化を9月末までに完了する見通しであることも併せて伝えた。内水氾濫対策としての排水ポンプ車も4台導入し、運用マニュアルも公開した。
参加した住民からは排水樋管ゲートの電動化ついて評価しながらも「今回改めたゲートを閉める判断基準では、道路はすでに冠水している可能性があるのでは」と話した。また、他の住民からは「操作手順はまだ曖昧だと思う。気象警報などの条件も盛り込んで、あらゆることを想定してほしい」などの意見が出された。
また、排水ポンプ車について「ゲートは市内に5つあるのに、ポンプ車は4台。優先順位はどうなっているのか。丸子ポンプ場が近くにある我々は、後回しにされてしまうのでは」と不安を話し、「ゲートポンプ設置をお願いしたい」という要望も出された。
参加した山王町二丁目町会で防災部長を務める本木好幸さんは「九州のように大雨が2、3回と続くような事態も今年はあり得るかもしれない。監視カメラを公開するなどできる対策から、大至急対応してもらいたい」と話した。
操作手順見直し逆流時は「閉鎖」
上下水道局は浸水した原因について昨年、ゲートを開けていたことによる多摩川河川の逆流によるものと説明。当日は内水氾濫を防ぐために「降雨がある場合にはゲートを全開にする」という操作手順に沿って対応していた。しかし検証の結果、山王排水樋管ゲートについては多摩川の河川水位と降雨状況の一定の条件のもとに閉鎖すれば、浸水規模が小さくなることが分かった。これを受け同局は、ゲートの操作手順を見直し、ゲート付近の一番低い位置にあるマンホールから1メートル下までに水位が達し、更に逆流を確認した際に全閉にする、とした。
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