年頭にあたり、本紙では黒岩祐治知事に単独インタビューを行った。黒岩知事は災害対策や未病への取り組みについて意欲的に語った。
(聞き手/本紙・露木敏博)
災害に備える
昨年は台風15号・19号によって、最近、神奈川県が経験したことが無いほど大きな被害を受けました。中でもかなり緊張したのが、城山ダムの緊急放流です。城山ダムで定めているルールでは、3時間前に情報伝達を行うとしている中で、当県では前日、前々日に城山ダムの緊急放流の可能性を全流域の市町にお伝えしました。川の水かさが増しているのに緊急放流をするとは何事かと思われるかも知れませんが、ダムの貯水量が限界になるとダムそのものが決壊し、壊滅的な被害が出るかも知れない。私自身が知事室から動画で避難を呼びかけたところ、ツイッターなどで瞬く間に拡散して55000ビューの視聴に繋がり、このことを高く評価してくださる方もいらっしゃいました。
一方で、実際の放流時刻が最終的に急に30分早まり、その連絡が若干遅れたことで、情報伝達の在り方に問題があったのではとの指摘もされました。市町村や住民の皆さんに情報共有を迅速にしていかなければならないことを改めて痛感させられました。
未病について
昨年、3回目の「ME―BYOサミット」が開かれ、そこで未病指標が提示されました。0から100までの間で100が一番良い健康状態ですが、その中で「あなたはどこにいますか」という目安の数字が簡単なテストでパッと出てきます。今年3月から一般的に使用いただけるようになりますから、動き出すと未病産業が一気に加速するだろうと思っています。
また、県では平成30年3月に「神奈川県歯及び口腔の健康づくり推進条例」で、全国で初めてオーラルフレイル対策を取り入れました。オーラルフレイルというのは口腔機能の衰えを指しますが、機能が弱ってくると色々な形で未病が悪化してきます。その予防のため、嚥下機能を鍛える簡単な体操や滑舌を改善する早口言葉など、意識を持ってやっていただこうということです。その啓発のために平成28年度から県歯科医師会とタッグを組み、動画やハンドブックの製作などキャンペーン活動を継続して行いました。引き続き全県展開を目指し取り組んでまいりたいと思います。
事件の風化を防ぐ
津久井やまゆり園の事件を絶対に繰り返してはいけないということで「ともに生きる社会かながわ憲章」を県議会と一緒にまとめ、普及啓発を図っているわけですが、残念ながら、どうしても事件の衝撃から時間が経つと記憶からだんだん遠ざかってしまう。さんざん努力はしているのですが、なかなか認知度が上がらないというジレンマはあります。しかし、だからと言って諦めてはいけない。気を引き締め前向きにやっていこうと今新たな広報展開、第2ステージに入っています。
オリ・パラ 8月に
当県でもセーリング、そして野球・ソフトボール、サッカー、自転車ロードレースといった競技の開催が予定されています。特にセーリング競技は海を使いますから、漁業関係者や1000艇近いヨット所有者のご理解をいただくことに努めてまいりました。また、江の島にわたる橋を3車線化したり、セーリングセンターを建設して準備は万端です。野球については横浜スタジアムの観客席を増やしてもらい、サッカーの会場もラグビーワールドカップをきっかけに芝などがきれいに整備されました。ただ、自転車ロードレースの一部コースについては台風によって崩れてしまいましたが、本番には間に合うよう、すでに復旧の目途はついています。
県民に向けて
昨年のラグビーワールドカップに続いてオリンピック・パラリンピックの年です。世界中の目が再び日本に集まり、そして世界中からお客さまがやってくる。これは様々な意味で歴史的な出来事です。この良い流れを皆さんと共有しながら日本の素晴らしさを自分たちで確認すると同時に世界に向けて発信していく。それによってみんなが自信を持って生きていける、そんな一年にしたいと強く思います。
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