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公開日:2018.01.01

新春企画インタビュー
『伝える』とは何か
藤木美奈子准教授に聞く

  • 藤木美奈子氏(桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群准教授、専門・スピーチコミュニケーション)ハーバード大学大学院卒業。NHKテレビ・ラジオでの長年のキャスター経験を活かし、パブリック・スピーキングや音声表現法を指導。桜美林大で毎年2,000人が受講するスピーチ科目のプログラム責任者。主な著書『自分を活かすコミュニケーション力』ほか

 『伝える』とは何だろうか。人類は『伝える』ために言葉をあやつり、文字を発明した。表情や身振り手振り、デザイン、音……、様々な手段で誰かに何かを伝えようとしてきた。そして現在、インターネットを手に入れた人類は『伝える』手段の種類、相手の数などが飛躍的に増え広がった。しかし、本当に伝わっているのだろうか。タウンニュース町田版では、新春特別企画として様々なジャンルで『伝える』を仕事にしている人たちを取材した。                         (中面に特集『伝える』)



 『伝える』とは何か。桜美林大学の藤木美奈子准教授(専門・スピーチコミュニケーション)に話を聞いた。



 ――相手に何かを『伝える』という行為について教



えて下さい。



 「まず『伝える』ことと『伝わる』ことは違いますよね。言いたいことを一方的に言って、『伝わった』と勘違いしがちですが、言語化すれば伝わるわけではありません。伝える対象の特性を知り、それに合った話し方をすること。話の組み立てなどの言語表現だけでなく、声のトーン、姿勢、表情、アイコンタクトなどの非言語表現も大切な要素です」



 ――現在、ITの整備によりツイッター、フェイスブックといったSNSなどで大多数に対し、『伝える』ということが簡単にできるようになりました。



 「そうですね。私が以前NHKに勤務していたころは、メディアを使って情報を発信できるのは限られた人だけでした。今は誰でも簡単に情報発信ができるようになりましたね」



 ――SNSなどで本当に『伝えようとしている』のか疑問に思うものがあります。誹謗中傷の内容で言いたいことだけを書き込んだようなものです。



 「対面のコミュニケーションでは『伝えたい』ことのために言葉や表情など様々な要素を駆使して、相手に伝えます。しかし、最終的に伝わるのは内容よりも、むしろ『その人自身』です。コミュニケーションとは『人間の暖かさの交換』という研究者もいます」



 ――SNS上ではどうでしょうか。



 「汚い言葉や誹謗中傷を簡単に発信してしまうのは『恥の文化』の衰退ではないでしょうか。『身内』という言葉がありますが、家庭だけでなく職場や学校、友人関係、一定範囲の公共の場を『内』と捉えて、これまでは人に迷惑を掛けたくないと行動していました。今はその『内』が狭くなり、自分さえ良ければいいやという考えが強くなってきているのではないでしょうか」



 ――『伝える』ことが容易になる一方、注意すべき点はありますか。



 「当たり前ですが、伝えるには『相手がいる』ということです。言いたいことを言えばいいのではなく、相手を尊重しなければ伝わりません。一方で、相手の注意を引きつける仕掛けがあれば、関心を呼ぶことができます。汚い言葉や誹謗中傷も注意を引くための刺激の一つと言えます」



 ――そういった刺激で深く傷つくこともあります。どうしたらいいでしょうか。



 「日本は『察し合いの文化』です。表情や言い方、立場、前後関係など言語以外の様々な状況・要素から意味をくみ取るのが得意な文化を持っています。こうした物言わぬコミュニケーションがなぜ成立するかというと『濃密な人間関係』があるからです。しかし、このような関係はだんだん薄まっています。淡白な関係性の中では、明確に言語表現できる力が求められます。言わなくても察し合える高度なコミュニケーション能力を維持しながら、お互いを尊重しながら明確に発信するコミュニケーション力を磨き、場面に応じて使い分ける力が必要になってくるでしょう。『何を伝えるか』ということは発信者に責任がありますが、どう受け取るかは受け手も学ぶ必要があります」



 ――お忙しい中、ありがとうございました。

 

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