子どもが重い病気にかかると、親元から離れての入院生活が始まる。小さな体で一人つらさに耐えなければならず、家族に自由に会えない寂しさが募る。
闘病する子どもたちやその家族に、少しでも笑顔を届けたい--。八王子市下柚木を拠点にするNPO法人「ピアスマイル」(大浦真理子代表)は、そんな理念のもと昨年10月に発足した団体だ。八王子市内や近隣の小児病棟のある病院に対して、子どもたちが楽しめるイベントや、目で季節を感じられる品々の寄付を続けている。
社会的関心高く
厚生労働省によると、全国の1日当たりの小児(0〜14歳)の入院患者数(推計)は、約2万2900人にのぼる(2020年「患者調査」)。国内では大手ファストフード店が患児に付き添う家族用の滞在施設を主体的に支援していたり、病児や家族を対する精神的・物質的なケアに関心が高まっている。
同法人は母体である患者家族の会「光の会」が発展したもので、法人化前から同様の支援を行う。過去には、プロの紙切り師を招いての演目や、南極観測隊参加経験者によるお話会などを企画。お話会では未知の世界である南極での生活模様や、実際に現地で採集された氷が披露され、子どもたちは目を輝かせた。
大浦さんたちが出張している東海大学医学部付属病院(伊勢原市)の小児科の元看護師長は、「今まで出会ったことのない人と会うのはとても貴重な経験。ハサミ一本で色々なものが出来上がるさまに全員釘付けで、切ってもらった作品はみんなベッドに大事に飾っていた」とその様子を振り返る。大浦代表も、「映像視聴やオンラインでの催しもいいが、実際に作品が手元に残ることに大きな意味がある」と対面の重要性を話す。
試行錯誤 続く
コロナ下の活動は制限が大きく、特に病院は厳戒態勢が敷かれる。「対面イベントはもちろん手製の紙細工の差し入れも厳しく、今夏の寄付は既製品を贈った」と大浦代表。しかし、子どもたちのかけがえのない時間は止まってはくれない。コロナが収まるまでは、オンライン開催などあの手この手で模索を続ける。
同法人の詳細や支援の問い合わせは「ピアスマイル 八王子」で検索。
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