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八王子版 公開:2025年1月9日 エリアトップへ

多摩振興 次なる一歩 都知事 年頭インタビュー

政治

公開:2025年1月9日

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2024年7月、多摩都市モノレール車両基地にてあいさつをする都知事=東京都提供
2024年7月、多摩都市モノレール車両基地にてあいさつをする都知事=東京都提供

 年頭にあたり、タウンニュースでは小池百合子東京都知事にインタビューを試み、書面で回答を得た。小池知事は多摩地域の2024年を振り返るとともに、25年の展望などを説明した。※24年12月16日回答

―八王子市、町田市、多摩市を含む多摩地域を中心に、2024年の主な出来事や施策の振り返りをお願いします。

 「2024年も多摩地域の様々な場所に足を運んできましたが、地域ごとに多彩な魅力や個性があると実感していますし、そうした多摩地域の魅力の発信に邁進してきました。東京の企業の99%を占める中小企業の技術力は目覚ましく、宇宙への道も切り拓く時代です。昨年1月、東京たま未来メッセ(八王子市)で、多摩地域最大級の展示会『たま未来・産業フェア』を初開催し、延べ7千人以上が来場しました。今年1月17日・18日に開催する第2回では140社が出展予定で、企業同士の新たなつながりによるイノベーションの創出を促していきます」

 「『山の日』が制定されて8年目となる昨年、『「山の日」全国大会』を開催しました。東京は大都市でありながら、雲取山や高尾山、市街地の緑地など、多様で豊かな自然を有する世界でも類を見ない都市です。東京の山々や生物多様性を楽しみながら体感してもらえるよう、全国へ発信しました。加えて、昨年8月から10月にかけて、多摩30市町村のおすすめスポットを『自然』『グルメ』などのテーマ別にめぐるデジタルスタンプラリーやInstagramハッシュタグキャンペーンを実施し、多摩の魅力を感じていただきました。ほかにもサッカーの分野では、FC町田ゼルビアがJ1初参戦ながら最終節まで優勝争いに食い込み、3位の好成績を収めました」

 「スポーツといえば、今年7月13日に、東京2020大会のコースも活用した自転車ロードレース『THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025』を開催します。2回目となる今回、国際競技団体公認の大会としてトップアスリートが多摩地域を駆け抜けます。ぜひ沿道で応援し、自転車のスピード感、魅力に触れていただきたいですね」

―今後、知事は多摩地域のまちづくりにどのように取り組みますか。

 「新たな暮らし方、働き方の浸透など社会状況が変化し、まちづくりの課題は多様化・複雑化しています。こうした状況に的確に対応し、誰もが身近な地域で活動でき、快適に暮らせるまちの実現を目指しています。昨年1月、都は『多摩のまちづくり戦略』(素案)を公表し、将来像として、『個性が生かされ、活発な交流で活力とゆとりある持続可能な多摩』を掲げました。戦略(素案)では、TAMA拠点形成、TAMAまちづくり推進、TAMAニュータウン再生の3つのプロジェクトを示しています。今年3月までにこの戦略を策定し、魅力あふれる多摩の実現に向け、ハード・ソフト両面から取り組んでいきます」

―多摩ニュータウンにおける都の取組方針について教えてください。

 「都は、昨年1月、『(仮称)多摩ニュータウンの新たな再生方針』(素案)を公表しました。多様な主体と連携しながら、モデル地区での先行プロジェクトでまちづくりを先導します。多摩ニュータウンの第一次入居地区である諏訪・永山地区では、永山駅周辺の再構築や、団地の建替えによる創出用地の活用、近隣センターのリニューアルなどを進めます。多摩センター駅周辺においては、再構築に向けて、駅周辺を対象とした検討会議を設置し検討を進めていきます。南大沢地区では、新たなモビリティやデータ連携基盤などのスマートサービスの社会実装に向けた取組を推進していきます」

―多摩地域の交通インフラの強化・充実にはどう取り組みますか。

 「多摩地域の持続的な発展のためには、交通基盤の整備が重要です。多摩ニュータウンを東西に横断し、稲城、多摩、八王子を経由し、町田に至る南多摩尾根幹線について都は現在、全線4車線化に向けた整備を進めています。また、大規模災害時に都庁の代替機能を担い、首都防衛の要となる、立川の広域防災拠点の機能を強化するほか、拠点へのアクセスルートとなる都市計画道路等の事業も推進していきます。そして、多摩を南北に縦断する多摩都市モノレールは、多摩の成長に不可欠な基幹的なインフラです。都は、上北台から箱根ケ崎方面への延伸について、30年代半ばの開業を目指し、都市計画決定に向けた手続等を進めています。多摩センター駅から町田方面への延伸については、多摩市と町田市が沿線まちづくり構想を策定したことを踏まえ、導入空間となる道路の検討や延伸の事業検証に着手しています。多摩地域には、JRや私鉄が多く走っており、住民の大切な足となっています。鉄道駅のホームドア整備を加速するため、国や鉄道事業者から成る協議会を設置しており、コスト縮減や工期短縮につながる対応策の検討を進めています」

―知事は、デジタル化や子育て施策にも熱心に取り組まれています。

 「デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す『スマート東京』を実現し、都民のQOLを向上させていきたいと考えています。例えば、多摩・島しょ地域を皮切りに都内全域で3次元点群データを取得し、オープンデータとして公開しました。点群データは、様々な分析・シミュレーションに活用できますが、特に多摩地域の防災やまちづくりでの取組に生かしています」

 「自動運転技術の実装も進めており、昨年12月、多摩センター駅で運転手搭乗型の自動運転バスを運行しました。今年2月には箱根ケ崎駅周辺でも運行するなど、取組のステップアップを図り、技術精度の向上につなげます。さらにこどもDXとして、保育園探しから入園までの手続がオンラインで完結する『保活ワンストップサービス』を調布市、板橋区、足立区の保育施設で先行実施しています。DX推進に当たっては、デジタルの専門家集団『GovTech東京』の力も生かし、市町村が抱える課題の解決に向けた支援のほか、都民の利便性の実感に向け、オール東京で推し進めます」

 「また、子供は次の時代を担う大切な存在です。これまで、チルドレンファーストの社会の実現に向け、18歳までの子供へ月額5千円支給する018サポートや第二子の保育料無償化、高校等授業料の実質無償化など、子育て支援の充実に全力で取り組んできました。今後、第一子の保育料無償化について今年9月からの開始を目指すなど、支援の充実に努めていきます」

 「学校給食について、都は、昨年4月から国に先行し、区市町村が行う学校給食費の負担軽減に向けた取組を支援しており、この3学期から、都内全ての区市町村で無償化が実現しました」

 「増加する相談件数に対応するため、25年度、町田児童相談所(仮称)を開設します。多摩地域では、今後、武蔵野、福生に新たな児童相談所の開設を予定しており、きめ細かな相談体制を整備していきます」

―多摩地域で暮らす都民へメッセージをお願いします。

 「30市町村、約437万人が暮らす多摩地域は、緑豊かな自然、良好な住環境、企業や大学が集積するなど、多様な魅力とポテンシャルを持つ、東京の持続的な発展に欠かせない存在であり、より一層、多摩振興に取り組んでいきます。そして、多彩な魅力を全国の人に知ってもらうことで、多摩はもっと輝きます。多摩を戦略的かつ大胆にPRし、誰もが訪れたい、住みたいと思う地域をつくり上げてまいります」

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