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横須賀・三浦 経済

公開日:2022.11.11

「飲むブラジャー」誕生語る
飲食プロデューサーの子安さん

  • 横須賀ブラジャーを前に子安さん。専用グラス、派生商品も誕生した

    横須賀ブラジャーを前に子安さん。専用グラス、派生商品も誕生した

 横須賀中央駅前、昭和レトロの雰囲気が漂う飲み屋街「若松マーケット」の看板商品といえば「横須賀ブラジャー」。ブランデーをジンジャーエールで割ったカクテルで、”飲むブラジャー”として界隈で親しまれている。2011年11月11日の登場から早11年。このご当地ドリンクは、どのような経緯で誕生したのか。開発者である飲食プロデューサーの子安大輔さんに聞いた。

 ──当時、若い世代を中心とした「酒離れ」や低価格居酒屋の台頭などで、既存のスナック・パブは苦戦を強いられていました。そうした中、救世主として子安さんがマーケットにやってきたと聞いています。

 「神奈川県の商店街支援アドバイザーとして派遣されました。出身は葉山町ですが、マーケットの存在は知らず、昭和な街並みに驚かされました。ただこの独特のムードが、個性になると直感したことを記憶しています。当初、会員の皆さんからは『商店街が暗いので街灯を設置して欲しい』『お洒落な石畳の舗装に』といった声がありました。ハード面の整備を否定しませんが、費用と時間が掛かります。知恵を絞って活性化に取り組むことを進言し、ご当地ドリンクを提案しました。その頃、ハイボールが復権しており、この街の昭和のイメージを活かしてブランデーのジンジャー割はどうかと」

 ──その飲み方自体は世の中に存在しているもので、やはり「横須賀ブラジャー」というネーミングの秀逸さが決め手だったと思います。

 「スナック街だからこそできる”遊び”でした。女性であるママが『ブラジャー』を提供するという面白さ。いやらしさを感じさせず、笑い飛ばす感覚がこの街の空気感とも上手くマッチしたのだと思います」

 ──商品やアイデアを発想するコツがあれば教えてください。

 「ゼロから何かを生み出すことは容易ではありません。見過ごされているもの、気づいたら風化しているものに着目してもう一度息を吹き込むことを意識しています。少し古い話になりますが、ラー油を食べる、というコンセプトでヒットした商品があります。ラー油はかける、たらすというのが一般的ですが、違ったキーワードを持ち込むことで、新しいポジションを獲得できることがあります。『ブラジャー』の発想もそれに近いかもしれません」

 ──提案資料は、マーケットが活気を取り戻して再生したことを未来予想図的に伝える架空の記事でした。

 「たどり着きたいゴールを設定して、そのために必要な行動を言葉に落とし込むのはマーケティングの手法として存在します。それをあたかも雑誌の記事に掲載されたかのような体裁にしたのは見せ方の工夫です」

 ──活性化の取り組みを継続していくことの難しさは、商店街などの取材を通じて実感しています。「ブラジャー」はご当地ドリンクとして定着しました。もしこれが存在していなかったら、大げさですが、マーケットは違った景色になっていたかもしれません。

 「ボールが転がる最初の一押しになれたのであればうれしいですね。先の提案資料の記事に、『明確なコンセプト』と『一丸となったチーム力』が寂れゆく街をもう一度元気にする離れ業をやってのけた、と記しています。昭和レトロを触れ込みにしたカクテルと、皆さんがチームの意識を持って取り組んでくれた成果だと思います」

 ──マーケットに出入りするようになり、スナックの面白さに目覚めたと聞きました。

 「スナックを通じて、人が集まることの価値をあらためて認識しました。自宅でも職場でもない、もうひとつの居場所。自分で開業しましたが、経営的な難しさから閉店しました。スナックは、働くスタッフのパーソナルな魅力に人が集まります。オーナーとして、人材を確保することの困難さを痛感しました。だから何年もお店を継続されているママさんたちには、あらためて尊敬の念しかありません」

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