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藤沢 文化

公開日:2023.01.01

青春は、終わらない
大学生書道家 荒井理紗子さん(19)

  • 作品を前に笑顔を見せる荒井さん。「藤沢の皆さんが夢や希望をもって歩める一年に」

    作品を前に笑顔を見せる荒井さん。「藤沢の皆さんが夢や希望をもって歩める一年に」

  • 青春は、終わらない (写真2)

ずっと、憧れていた場所がある。毎夏、愛媛県四国中央市で開かれる「書道パフォーマンス甲子園」。漫画や映画の題材にもなり、伝統文化としての書道とは一線を画す「競技」としての書道で、全国から高校生が集う聖地だ。小学生のときから出場を夢にまで見た。血のにじむような努力を重ねた。でも、叶わなかった。高校を卒業し、大学生となった今、かつての夢が別の形で花開こうとしている。夢の主は、羽鳥在住の荒井理紗子さん(19)だ。

 師走、羽鳥の集合住宅施設の一角。和装に身を包み、真剣な表情で筆を走らせていく。

 相模湾に浮かぶ富士山と江の島。日の出の中には大きく夢の文字が浮かんだ。「コロナが収まらない日常だけど、藤沢の皆さんが夢や希望を持って歩める一年に。そんな願いを込めました」。そう言ってはにかむ。

 母と祖母の影響で幼い頃から書道をたしなんだ。書道パフォーマンスを知ったのは小学2年生のとき。競技をテーマにした映画を観て、自分の知る書道とは違う一面に心惹かれた。

 「一人で黙々とやるのではなく、皆で支え合って達成感や感動を共有する。私もやってみたい」

 情熱は本物だ。進学先は書道パフォーマンス甲子園に出場した実績がある横浜市内の中高一貫校を選択。だが、周囲との温度差から「このままでは夢が叶わない」と察すると中2の秋、都内の強豪校に編入した。

     ◇

 1年生のときは予選で敗退するも、確かな手応えを得て臨んだ2年生のとき、新型コロナウイルス禍が直撃。大会も中止になった。

 残された最後の年、部長を務め、部員集めに奔走しつつ、書道の練習を日夜重ねた。個人では高校通算4度、全国大会で最高賞を受賞。全て、夢のためだった。

 だが、決勝戦でわずか1点、相手校に及ばず、切符を逃した。「全力を出し切った上での敗退。悔いはない」。そう言い聞かせた。情熱だけが、胸にくすぶった。

     ◇

 転機は大会後、片瀬海岸で開かれた「THE POWER OF KOUKOUSEI」。有志が「コロナで発表する機会が失われた高校生にお披露目の場を」と企画したもので迷わず応募した。

 ステージの上で音楽に合わせ、無心に筆を走らせた。大勢の前でパフォーマンスを披露するのは小学生以来だったが、観客からは感嘆の声が寄せられた。「かっこよかった」「感動した」

 一人でも、書道パフォーマンスができるかもしれない―。開眼した瞬間だった。

     ◇

 昨年は地元の子育てイベントや藤沢市の姉妹都市、韓国・保寧市との記念式典では両市長や関係者らが見守る中、パフォーマンスを披露。片瀬海岸のイベントが縁をつなげる契機となり、活躍の場を広げている。

 今、新たな夢がある。青春の全てをかけてきた書道パフォーマンスは、書道の可能性を自分に気づかせてくれた。

 「書道の魅力を広めたい。今の子どもたちは文字を紙に書く機会が減っている。それに世界に目を向けた時、書道を通じて海外の人とでも感動を共有できる」

 青春は、終わらない。夢は始まったばかりだ。

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