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公開日:2026.05.22

医療的ケア児の災害時避難 「知る」ことが命救う第一歩

  • 議論を交わす参加者

    議論を交わす参加者

 災害が起きた時、体の不自由な子どもを救うには――。人工呼吸器の管理やたん吸引、胃ろうによる栄養注入などを日常的に必要とする医療的ケア児者と家族の災害時避難について考える勉強会が17日、藤沢市役所であった。自宅が被災した場合に受け入れ先となる福祉避難所には多様なニーズに合った設備がいまだ整っておらず、利用をためらう人もいるといった課題などについて市民らが熱心に議論を交わした。

 厚生労働省の調査によると、医療的ケア児は全国に2万人超いるとされ、過去20年でおよそ2倍に増加。医学の進歩を背景に、NICU(新生児特定集中治療室)など高度な医療施設でこれまで助けられなかった命を救えるようになったためだ。市こども家庭センターによると、市内の対象者は昨年4月時点で63人いるという。

在宅か、避難か

 この日の企画は、防災士スキルアップ勉強会の一環。医療的ケア児の家庭が抱える在宅と集団の避難の狭間でのジレンマが浮き彫りになった。

 医療的ケア児の多くの家庭は、生活を維持するための医療機器や電源がそろう自宅での避難を望む。しかしNPO法人藤沢相談支援ネットワークの齊藤祐二理事長らは、在宅避難を続けることで地域から存在が見えなくなる孤立の危険性を指摘。停電で命に関わる機器が停止したり、物資配給情報が届かなかったりする恐れに加え、一般避難所へ行けば機器の作動音への気兼ねや感染症リスク、スペース不足といった障壁が家族を阻むため、逃げることも、とどまることもできず、不安を抱え込んでいることが明らかになった。

 こうした課題に対し、参加した防災士や専門家からは、行政の支援だけに頼るのではなく、平時から「知る」ことと「顔の見える関係」を築く必要性が伝えられた。

 「身近にいる。別の世界にいる存在ではない」

 齊藤理事長らは医療的ケア児を特別な存在として遠ざけず、地域住民や防災士が医療的ケア児の要望を平時から正しく認識することの大切さを強調した。

会話重ね共助へ

 その後、参加者は各グループに分かれ、「備え」「避難」「避難生活」で必要なことを付せんに書き出し、大判の紙に貼り付けた。参加者は当事者家族を巻き込んだ避難訓練を自治会単位で重ねることや、どこに住んでいるのか、何を必要としているのか、を知っておくことなどを発表。慶應義塾大学看護医療学部の石川志麻さんら登壇者や参加者からは「本音で話し合うことで具体的な困りごとを周りが理解し、災害時の共助が生まれる」という声が上がった。

 勉強会事務局の桑原信行さんは「医療的ケア児の存在を今知ったことは財産。災害時に誰一人取り残さないため、平時からつながりづくりに努めたい」と話した。

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