藤沢市は先月21日、考古資料や民俗資料などを管理・収蔵する文化財収蔵庫の再整備を巡り、計画を見直すことを明らかにした。2025年度から供用開始を目指していたが、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する物価高騰により、建築費の見込みが当初の約5億円から13億円に増加。これを受け、収蔵庫の機能や建設予定地も含めて見直しを検討する。
同日の藤沢市議会子ども文教常任委員会で市が報告した。
市は、これまで文化財を第1収蔵庫(旧善行調理場)、第2収蔵庫(旧北部合同調理場)、御所見収蔵庫(旧御所見市民センター)の3施設に分散して保管。いずれも老朽化が進んでおり、石川の第1収蔵庫跡に延べ床面積約2500平方メートルの施設を建設する計画だった。
21年度からは市公共施設再整備第3次プランの実施事業に位置づけ、22年度には第1収蔵庫の収蔵品を村岡地区の仮収蔵施設へ移設。既存施設を解体し、着工に向けて準備を進めていた。
市は同委員会で、「想定を上回る物価上昇で、特に倉庫建設に必要な鋼材費の上昇が著しい。コスト削減だけでは対応しきれない」と説明。当初より2・6倍の建設費が見込まれることから、「収蔵品の単なる保管管理を行うだけでなく、改めてその機能や建設予定地も含めて見直しの検討を行う」とした。
文化財保護法では、保管資料の活用を推奨している。これを踏まえ、市は「より多くの市民が文化財に触れ、藤沢の歴史を感じる機会を提供できるよう機能の充実を図る」と再整備の方向性を提示。当初の予定地は市街化調整区域で用途が限られるため、「現在の建設予定地が適正であるかも含めて、見直しの検討を行う」とした。
市郷土歴史課によると、市は土器や石器などの考古資料約3万8千点、農具や漁具などの民俗資料約8千点を所蔵している。
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|