藤沢 社会
公開日:2026.06.12
シリーズ【5】重要性高まる日本語教室 草の根で多文化共生支える
神奈川県内に住む外国人は、今年初めて30万人台に到達した。「隣人」として存在感を増す外国人県民と、どう共生するか――。シリーズ最終回は、各地域で開催されている日本語教室にスポットを当てる。
日本語教室は学校法人や企業が経営する日本語学校とは異なり、国際交流協会や自治体が主体となって開かれている。スタッフのほとんどはボランティアで、学習者の費用も無料か、1回数百円程度のものが多い。
ベトナム出身で、現在は平塚市に住むチャン・バン・ティエップさん(35)が来日したのは、2014年の冬。母国の大学で自動車技術を学び、卒業後は平塚市に本社を構える精密工具メーカーに就職が決まった。
日本語は来日前の数カ月学んだものの、「ほとんど話せないまま」日本での生活がスタート。不安も大きかったという。そんな時、手続きのため訪れた市役所で目にしたのが、平塚市国際交流協会が実施していた日本語教室の案内だった。仕事を終えると、教室が開催されていた平日は毎日のように通った。「漢字や文法など、課題ごとに先生が1対1で教えてくれたので学習が進んだ」
またスタッフが企画した国際交流イベントにも参加し、日本の伝統文化や昔あそびを体験したことは良い思い出だ。「教室では先生たちとリラックスしながら話ができて、日本人とのコミュニケーションを自然に学べた」と振り返る。
その後は日本の大学院に進学。経営学修士を取得した。卒業後は平塚市に本社・工場を置くゴムメーカーに就職し、企画部門で働く。17年に結婚したベトナム人の妻との間には2人の男の子が生まれ、長男は今年、同市の小学校に入学した。
最近では地元の国際交流イベントの実行委員長も務めた。「日本語教室に通っていなかったらこんなに多くの日本人と交流する機会はなかったと思う」と笑顔を見せる。
課題は担い手不足
かながわ国際交流財団によると、昨年度に県内で開催された日本語教室は約240件。その数はわずかだが、減少傾向という。課題はスタッフの不足や高齢化。新たな担い手を増やそうと、同財団では自治体と共同で、ボランティア研修会を催している。昨年度は5自治体で、延べ200人が受講した。
担当者は「日本語教室は単に言語を教えるだけではなく、外国人が地域社会に参加するきっかけも作っている。多文化共生のためにもますます必要になる」と話した。
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