能登半島地震から1カ月以上が経過した。秦野市からも、多くの義援金のほか、現地への人員派遣などが行われている。
秦野赤十字病院では、日本赤十字社神奈川県支部の一員として医療救護班を派遣。1月17日から19日まで石川県珠洲市で活動を行った。
救護班の医師の1人として派遣された松山大輔さん(45/院長補佐・第二整形外科部長)は、「道には地震による亀裂や段差があった。私たちが派遣された時は雪が降っていなかったので、路面が見えていて、注意すればなんとか走行できた」と話す。途中、電線が切れて垂れ下がっていたり、通行止めの場所もあり、ネットも使えないことが多いため、本部から被災地まで道路状況を把握するのにも苦労したという。
地震発生から2週間以上が経っていたため、急を要する患者はすでに移動しており、主な活動内容は避難所の生活環境や被災者のケア、救護所での診療といったもの。被災者は精神的ストレスを抱えており、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ、胃腸炎にかかる人も多くなっていたため、そうした症状への対応や生活習慣病がある人への薬の処方なども行われた。
避難所で特に指導を行ったのは、トイレの衛生環境だったという。「現地では下水の復旧が進んでいないため、トイレの衛生状態が悪かった。トイレから戻ってききたときに粉じんが上がり、胃腸炎などにつながる。そのため、靴を脱ぐ場所のアドバイスなどもしました」と松山さん。「避難所の管理者も疲れているので、そのケアも重要だと感じました」と話す。
「現地に届けることが大切」
今回、同院から派遣されたのは医師2人、看護師3人、薬剤師1人、主事4人の計10人。現地の状況やそれぞれの立場から気づいたことなどの共有を図るため、1月25日に院内で報告会を行った。
看護師は「被災者に話を聞いていると、生活習慣病がケアできるかどうかの不安も多かった」と話し、「地元の保健師との情報共有の大切さを実感した」と感想を述べた。また、薬剤師からは「災害処方箋を発行してから、薬が届くまで2日かかる」といった現状も報告された。そのほか事務関係を担う主事から見た感想や課題なども発表された。
田中克明院長は「皆さん一段とたくましくなったと感じた。病院一体となって取り組むことが大切。今後も要請があればぜひ行ってきてほしい」と話す。松山さんは「今回の経験を病院全体で情報共有し、次につなげたい。被災地に必要な医療を届けることが大切」と話した。
同院では2月6日〜10日まで第2班を派遣。2月下旬には第3班の出発も予定されている。
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