戻る

秦野 文化

公開日:2026.04.24

アートで満ちる、5月の秦野

  • アートで満ちる、5月の秦野 (写真1)

  • 五月祭連絡事務局・アトリエ菩提樹の小泉さん

    五月祭連絡事務局・アトリエ菩提樹の小泉さん

  • 丹沢アートフェスティヴァルの会長を務める竹村さん

    丹沢アートフェスティヴァルの会長を務める竹村さん

 初夏の光が丹沢の山並みを鮮やかに染め抜く5月―。秦野の街は、一年で最も色彩豊かな季節を迎える。この時期、秦野には「五月祭」と「丹沢アートフェスティヴァル」という、2つの芸術イベントが行われる。本特集では両イベントの見どころを紹介するとともに、それぞれの活動を支え続けてきた主催者たちの思いと、四半世紀近くにわたり築き上げられてきた秦野の豊かな文化土壌を紐解いていく。

秦野盆地が芸術の舞台 五月祭

 「五月は秦野盆地が美術館になる」をコンセプトにした「五月祭」は、今年で22回目の開催。5月1日(金)〜31日(日)の間に、市内大小のギャラリーなどが作品の展示などを行う。宮永岳彦記念美術館や、秦野市農業協同組合(JAはだの)も参加している。

 リンクフリーの芸術祭であり、実行委員会を設けない運営が大きな特徴。出展者の一つでもあるアトリエ菩提樹(菩提295)のみが連絡事務局となっている。一つの窓に一枚の絵といったような小さなギャラリーでも参加でき、参加のルールはシンプルで、「五月祭の名称を冠する展示やイベントを行う」「他のギャラリーのPR活動を支援し、批判しない」「来訪者の希望により記念のスタンプを押す」「自己責任、自己完結により活動する」の4つのみ。参加者の自主性に任せた、自由な芸術祭だ。

祇園祭がモチーフ

 アトリエ菩提樹は小泉光太郎さん・和江さん夫妻が運営し、五月祭の発起人も両夫妻。和江さんによると、実は五月祭は京都の祗園祭がモチーフとなっているという。「祇園祭の宵山の時期には、街にある旧家・老舗がそれぞれの所蔵する美術品・調度品などを飾り、公開する文化があるんです。自分たちのお宝を訪れた人に見せる、その風習を秦野でもやりたいという夫のアイデアから始まったんです」と和江さん。京都と秦野は、「盆地」という地形の共通点もある。祗園祭のように1カ月の間、「盆地全体を美術館にしたい」という思いから、五月祭は生まれた。

茶畑もアート

 22回目の開催となる「五月祭2026」は、市内12カ所が会場に。「お宝を見せる」といった祗園祭の趣旨に近い、意外な出展作品もある。今回も参加している菩提の「緑茶工房わさびや」(菩提908)は、新茶の時期に合わせ、茶畑の里風景全体をアート作品として出展する。秦野の名産の一つである茶畑の風景は、まさに秦野ならではの「お宝」。創作した芸術品以外も、幅広くアートと捉える。

 1つの会場で、複数の展示やアートが楽しめる会場があることも、五月祭ならでは。建物自体が国登録有形文化財のCafeいがらし(本町2の4の9)では、室内の見学のほか、版画・油彩・水彩・ミックスメディア作品展と秦野座・大秦野駅の模型の復元展示が行われる。5月22日(金)午後2時〜3時は参加費2千円で尺八の演奏とドリンクが楽しめる。また、白笹稲荷神社では、4月29日(水)・5月6日(水)・31日(日)に骨董蚤の市、4月29日〜5月6日に、絵画展示の「しろひげ塾塾生展」が開催される。その他の会場や出展内容は、公共施設等に配架されているイベントチラシで確認できる。

節目の年迎える 丹沢アートフェス

 今年で発足から20周年を迎えるのが、丹沢アートフェスティヴァル。今年は4月29日(水)〜5月31日(日)の期間、秦野市を中心に、小田原市、平塚市、大磯町など40カ所が会場に。絵画、陶芸、写真、彫刻、布工芸など多岐にわたる展示やワークショップが行われる。

 準備は、会長の竹村健さんをはじめとしたコアメンバー15人が1年をかけて行う。竹村さん自身が木版画・刻画の作家でもあるように、コアメンバーも全員アーティスト。月1回程度の会議を重ねて準備を進めていくのだが、「全員自分のこだわりがあるので、当然ぶつかるんですよね」と竹村さん。「だけど、良いものを作りたい思いはあるし、分担して作業できる。最後は反省会もしていて、マンネリ化を防ぐことにもつながっている」とほほ笑む。

山と海をつなぐ

 同イベントのコンセプトの一つが「アートを見つけて 海のまち 山のまち」。秦野市以外の自治体も会場となるのは、竹村さんならではの考えがある。

 竹村さんは広島県生まれ、藤沢市育ち。現在は大磯町在住で、秦野市との縁は寿町にある丹沢美術館への出入りを契機に生まれた。「山側のまちと海側のまちは、違った雰囲気を持っていてそれぞれ魅力がある」と話す。丹沢アートフェスティヴァルを広域エリアで行うのも、アート作品の鑑賞をきっかけに「山側と海側、それぞれに住む人が行き来することで、アートを中心とした大きなうねりが生まれたら」というねらいがあるという。

「芸術に垣根ない」

 また、出展作品の基準を設けないことも同イベントの特徴。基準を設けようとする声もあるが、同イベントでは権威あるアーティストから小学生の作品まで、制限を設けず作品を展示している。「例えば、使わなくなった着物をリメイクして小物や作品をつくる。これだって立派なアートだと思うんです」と竹村さん。今回、作成した20周年を記念した丹沢アートフェスティヴァルの冊子表紙も、第17回開催のオープニングイベントで行われたワークショップで子どもたちが描いた絵をもとにしている。アートに垣根はないという思いが、根底にある。

 今年は20周年企画として16人の彫刻家の作品を展示する「丹沢棚田野外彫刻展」、5人の版画家による「5WINDS展」、「黒澤明ドキュメンタリー」上映の3つの企画も実施予定だ。オープニングイベントは4月25日(土)、イオン秦野ショッピングセンターくすのき広場で行われる。会場を巡ってスタンプを13個集めると、記念品との交換も。その他の会場や出展内容は、同イベントホームページから確認できる。

秦野 人気記事ランキング

  • 前日
  • 1週間
  • 1か月

秦野 人気記事ランキング

  • 前日
  • 1週間
  • 1か月

ピックアップ

すべて見る

意見広告・議会報告

すべて見る

秦野 ローカルニュースの新着記事

秦野 ローカルニュースの記事を検索

コラム

コラム一覧

  • LINE
  • X
  • Facebook
  • youtube
  • RSS