ガス管などインフラの点検や、工事の現場をサポートする特殊機械(ロボット)や治具(現場をサポートする器具)の設計・製造・販売・保守点検を行うサーフ・エンジニアリング(根本秀幸社長/吉岡東3の10の3)が、「かながわビジネスオーディション」で最優秀となる知事賞を受賞した。全国的にも珍しい技術を開発し2月10日に特許を取得した同社は今後、同技術の応用・発展や新たなビジネスプラン創造に取り組んでいく。
同オーディションは創業や新たな事業分野への進出に取り組む企業にビジネスプラン発表の場と、ビジネスパートナーとの出会いを創出するため1996年から行われている。新規性や独創性、将来性、実現可能性などで審査が行われる。
同社が開発したのは、ガス管の点検を行うロボット「のぼるくん」。ガス管を走り、搭載したカメラからモニターに送られた映像で補修箇所を点検するというものだ。東日本大震災で千葉県浦安市の復旧に携わった根本社長が、ガスなど生活に密着するインフラの早期復旧の重要性を痛感したのがきっかけだった。
そんな折、ガス会社から「ガス管を点検する機械を作れないか」という依頼を受ける。地下のガス管は場所によって曲がっていたり垂直に20〜30m伸びていたりするため、足場を作る手間がかかったり点検しきれない部分があったからだ。
「既存の技術を応用しようと思ったけど、なかったので0から作った」と根本社長は話す。一見、管を走るだけの簡単な物に見えるが、安全性を保ちながら落ちないよう垂直に上り、360度どの方向にも曲がれるようにするのは容易ではないという。
社員と共に試作を作り、試験運用を繰り返すことで「のぼるくん」は完成した。その構造はシンプルで、単純であるがゆえに安価で壊れにくく、橋脚や橋梁、下水道、ボイラーなど他の物への応用も可能になる。
「シンプルで壊れにくくしたのは、放射線の影響で精密機械がすぐ壊れてしまう福島第一原発で使えたらという思いから」と根本社長は話す。「今後は土砂や堆積物を特殊ホース1本で吸い出す仕組みを開発したい。既存の技術では詰まってしまうが、これができれば災害現場での初動が変わるはず」と展望を語った。
産・金・官の連携で広がる可能性
サーフ・エンジニアリングが「のぼるくん」を開発し特許を取るまでに至った背景には、「経営サポート部」という部署を立ち上げ中小企業支援を行う「かながわ信用金庫」の存在があった。同社の技術と製品に興味を持った担当者が特許申請に向けたサポートを行い、神奈川県発明協会という団体と繋いだことで、ものづくりに対する補助の仕組みなども知ることができたという。
「産業・金融・行政が連携することで、こんなに事業の幅が広がるとは思ってもみなかった。今はロボット産業特区で綾瀬の行政との連携も増えてきた。こういった取り組みがもっと広がって、綾瀬の活性につながれば」と、根本社長は今後の発展に期待を寄せた。
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