瀬谷区編集室では、東京２０２０オリンピック・競泳男子２００ｍバタフライで銀メダルを獲得した区内東野在住の本多灯選手（21）＝日大＝に、新春のインタビューを行った。本多選手は22年を「学ぶことの多かった年だった」と振り返り、23年を「24年のパリ五輪に向け大事な年」と話した。

ライバルの台頭

　――22年は６月の世界選手権で銅メダル、10月の日本短水路では世界新記録を樹立するなど活躍の年だったと思いますが、どんな年でしたか。

　「１月の北島康介杯では思っていたタイムが出せて、いいスタートが切れましたが、世界選手権にはベストコンディションで臨めず、思い描いたレースができなかった。『このままではいけない、自分を変えないと』と思いました」

　――ハンガリー・ブダペストでの競泳世界選手権では２００ｍバタフライに出場して１分53秒61で３位、個人メドレーでは４分12秒20で７位でしたが。

　「フランスのレオン・マルシャン選手（20）の成長ぶりを見て、『俺は何をやっているんだろう』と、とてもショックを受けました。マルシャン選手は東京五輪では、４００ｍ個人メドレーで６位、２００ｍバタフライは準決勝で敗退し、決勝には進めませんでした。今回の世界選手権では、４００ｍ個人メドレーで東京五輪より７秒も速いタイムで１位、２００ｍバタフライは２位で、私の得意とする最後の50ｍで差を付けられてしまいました。マルシャン選手がこの一年間、どれほど練習してきたかを思い知らされ、自分がどれだけ甘かったかを痛感した大会となりました」

自分自身に変化

　――世界選手権後の練習などに変化はありましたか。

　「練習自体はこれまでどおり、目標を高く持って取り組んでいますが、大きく変わったのは『意識』です。生活の中で『これくらいいいだろう』と少し手を抜いてきた部分を改めました」

　――具体的にはどのようなことを取り組み始めたのですか。

　「練習前後のストレッチや就寝前の体のケア、食事の面など、本当に小さなことです。こういった積み重ねが大切なことだとマルシャン選手の成長を見て、教わった感じです。ライバルがいることは力になり、とても刺激になります」

福岡で世界選手権

　――23年はどのような年になると思いますか。

　「７月に福岡で開催される世界選手権が中心になります。昨年12月には強化合宿を行い、１月は強化が目的になります。１月20日からの北島康介杯に出場し、２月は国内大会出場、３月の調整合宿を経て、世界選手権への代表選考会に臨みたいと思います。代表権を得た後は都や県の大会に出場予定です」

　――パリ五輪の１年前となります。

　「はい、パリに向けてとても大切な１年です。世界選手権以降もインカレも続くので、どの大会も大切にして体調管理を万全に、いつでもベストタイムを目指したい。昨年のようなことはないよう準備したい」

　――タイムでの目標はありますか。

　「２００ｍバタフライでは１分51秒台を目指したい。世界で戦うためにも、この数字をクリアしなければ。現在、得意のキックを強化中。キックの力をうまく上半身に伝えられれば、実現できるタイムだと思う」

　――毎日の練習はどのようなものですか。

　「早朝と夕方に分けて、１回２時間の練習を１週間に９回行います。また週２回のウエイトトレーニングも行います」

　――お正月は何をしていますか。

　「ゆっくりしたいけど12月、１月は体力強化に大切な時なので、休みは大みそかと元日のみです。予定は友だちや後輩たちと初詣に行くくらいですね」

休日は甘党＆温泉

　――休みの時は何をしているのですか。

　「甘い物が好きなので、瀬谷近郊のお気に入りの喫茶店に行って、大好きな和菓子を食べてます。お茶やほうじ茶と和菓子の組み合わせが最強です（笑）。今は、きな粉のかかったわらび餅にはまってます。その後、電車に乗って郊外のスーパー銭湯まで行って、ゆっくりするのが大好きな休日の過ごし方です」

達成感を楽しんで

　――子どもたちや、これから何かを始めようという人にメッセージを。

　「どんなことでも自分のやりたいことは、やってほしい。自分が動くことに意味があると思うので、年齢的に遅いとかないはず。自分が動くことで周囲を動かすこともある。本当にやりたいと思うことは、人の心を動かす力がある。結果より達成感を力にして次に進んでほしいです。まずは楽しんでほしいです」

　――読者にメッセージを。

　「パリ五輪で金メダルを獲得できるように頑張ります。ぜひ応援してください。今年が皆さんにとって良い年になりますように」