横浜市は「GIGAスクール構想」に基づき、市立学校の児童生徒、教員に約27万台の端末(ノートパソコン、タブレット)の配布を完了した。一部中学校では活用を開始し、小学校では5月中に授業に使用できる体制を整える予定だ。今後は各校での活用に向け、教員の研修や情報共有が課題となる。
市は昨年9月に策定した構想をもとに、今年4月からの本格運用を目指し、3月中に各校へ端末を配布。学校内で高速大容量通信ができるよう無線LANの工事も完了させた。
緑区の鴨居中学校では4月12日、ノートパソコン(クロームブック)を2・3年生に配り、設定を済ませた。今後はインターネットを使った調べものや授業の導入、まとめに動画を活用していくという。
齋藤浩司校長は「端末を使うことが目的ではなく、デジタルの良さを感じ、知ることが目的。それを従来の教育と組み合わせることが大切だ」と話した。
教員の活用が鍵
ICT化を進めていくには、個々の教員が授業に取り入れていくことが重要となる。市教委は授業での使用状況を見ながら、頻度の少ない教員のフォローを行うと共に授業での活用例を共有するなどして促進を図るという。齋藤校長は「誰にとっても初めてのこと。教員が相互に教え合う雰囲気ができれば、ほかの面でも良い影響をもたらすはず」と期待する。
小学校と特別支援学校に配ったタブレット端末(iPad)は初期設定が必要で、5月末をめどに全校で完了させ、本格的に活用していく。
市教委によると、端末は原則として校内でのみ使用・管理し、校外への持ち出しは現時点ではできない。校外用には従来各校に備えていた40台の端末を使用する方針だが、市教委の担当者は「再び一斉休校になれば、端末を持ち帰ってリモート授業に活用できるようにするなど緊急的な対応を取ることも考えられる」と話している。
GIGAスクール構想
自動生徒1人1台の端末と高速大容量通信ネットワークを教育現場に整備することで、教育現場のICT環境を実現するというもの。文部科学省が提唱し、横浜市も2020年9月に独自構想を策定した。
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