多摩区・麻生区 社会
公開日:2026.03.27
東日本大震災から15年
幸せ願い 音に託す思い
麻生区在住 薄田さん夫妻
「最初は来たい人が来てくれればいい、楽しんでくれたらいいと思っていた。今は、自分たちの演奏を聴いて少しでも幸せになってもらいたいという思いが強い」。東日本大震災から15年。麻生区細山在住の音楽家夫妻、薄田真さん(64)、すすきだ真樹さん(61)は、震災直後からチャリティーコンサートを始め、被災した岩手県、宮城県、福島県での演奏活動を今も続けている。
◇ ◇
読売日本交響楽団のバイオリニストで、現在はOB楽団員として主に室内楽演奏会に参加する真さんと、フリーの打楽器奏者の真樹さん。2011年3月、全国的な自粛で演奏活動も止まる中、近隣の音楽仲間とホームコンサートを開いたのが最初の支援活動だ。入場料の代わりに募金箱を置き「気持ち」を入れてもらったところ多くの善意が集まり、楽団の関係を通じ被災地に寄付した。
ほどなく真樹さんは大学の同期ら演奏仲間と、東北支援を目的としたチャリティー団体を設立し、8月に真さんとともに都内でのコンサートに出演。以降もチャリティーコンサートを続け、知人の縁で13年に震災後初めて宮城県石巻市を訪れた。「すすきだ音楽隊」として活動を始め、津波被害の大きかった女川町や南三陸町、岩手県釜石市、福島県南相馬市などの被災地を訪問。コロナ前までは学校への楽器の寄付や、子どもたちへの演奏指導も実施した。16年の熊本地震後は熊本県も訪問地に加わり、各地の仮設住宅や復興住宅の集会所などで、のべ100回以上コンサートを行ってきた。
音でふれあう
「こういう時に、僕ら音楽家はすごく存在意義を問われる。演奏が役に立つのか、被災者の方の邪魔じゃないのかという思いは常にあった」と真さん。現地で活動する人が楽器も何もない中で歌うことから始め、みんなで泣きながら歌った、という話も聞いた。コンサートを聴き、自身も被災しているであろうボランティアスタッフが「普段泣くことはないけど、演奏を聴くとスーッと涙が流れる。音楽は必要です」と話してくれたことも大きかった。悲しい、寂しいという具体的な感情ではない。音楽には浄化する力がある。「これは続けていかなければ、という励みにもなった」とかみしめる。
「あの頃は、普通の会話がすごく難しかった」と話す真樹さん。石巻市の学校に、初めて演奏指導に行った時のことだ。普段、教えるときは心をほぐすためにいろいろな話をするが、被災地では子どもたち一人一人がどんな経験をしているかわからない。「おうちや友達のことは聞けなかった」。それでも、指導を通じて交流ができた。「言葉はなくとも、音でふれあうことができた。ああ、音楽をやっていてよかったと思いました」
寄り添う人のケアも
すすきだ音楽隊は、現在20人以上のメンバーが在籍。管弦楽や打楽器だけでなく、三味線などの邦楽チームやダンサー、落語家まで幅広い。現在は主に石巻市、釜石市、南相馬市を中心にコンサートツアーも年2回ほど企画し、メンバーが入れ替わりで参加する。
被災地に支援拠点を開くカトリック系のボランティア団体「カリタスジャパン」の受け入れのもとコンサートを行うことも。長年演奏に通う中で、現地のボランティアへの思いも大きくなった。「被災した方に寄り添い、ふれあい、心を軽くした分、自分が心に被るものも大きいはず。それでも活動しようと思う方がいるから成り立っている」。遠方からコンサートを聴きに来てくれるスタッフもいるといい、「現地で心のケアをしている人たちに活力を与えられているならすごいこと。少しでも癒すことができたら」と真さんは思いを語る。「続けられる限り、必要とされるところへ行く。今できることをやっていく」
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