川崎市内に爪痕を残した令和元年東日本台風。また来るかもしれない洪水や水害を私たちはどのように予測し、備えればよいか――。最終回となる5回目は、被害を抑えるために対策を進める川崎市上下水道局と中原区役所危機管理担当の皆さんに話を聞いた。
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被災から今日までに短期対策として大きく改良されたのは、排水樋管ゲートの電動化と内水氾濫を防ぐ排水ポンプ車の導入だ。これに伴い、操作手順やポンプ車配備の運用マニュアルを早急に整えた。電動ゲート完成時には山王排水樋管で訓練を公開。その後、水位計や流速・流向計、監視カメラ2台を設置し、リアルタイムでゲートを流れる水の状態を確認できるよう、映像をウェブサイトで公開している。
宮内にある市上下水道局中部下水道事務所の藤井則明所長は「全市的に対応してここまで来たが、短期対策のシミュレーションではまだ足りない部分もある。これで終わりではない。これからも改良する点はある」と思いを込める。
新しい操作手順や運用マニュアルを強化するため、上下水道局の現場職員は現在も継続的に訓練を実施。続ける中で新たな課題が生まれ、運用マニュアルを改良し、迅速かつ適確に動けるようにまた訓練を重ねる。そんな中、今年2月には丸子ポンプ場へつながる新たなバイパス管と排水ポンプ投了用マンホールの整備の計画を発表。被害の最小化のため、試行錯誤は続いている。
また、避難所の設営・運営に関しても課題は多い。住民が多い中原区では一つの避難所に集まれる人数が限られ、更に現在はコロナ下だ。
川崎市は昨年11月、東日本台風と感染予防を踏まえた総合防災訓練を宮内中で実施。参加住民は、風水害の備えや避難所ルールを確認した。区危機管理担当の松山和俊担当課長は「備えを広く周知するために地域の協力は欠かせない。今後、行政と地域がより一層協力して取り組む体制をつくりたい」と話した。
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