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公開日:2026.08.13

相模湖 「美女谷温泉」再生へ 地元の若手経営者が挑む

  • 「涼しくて異空間のよう」と同地の魅力を語る中里さん

    「涼しくて異空間のよう」と同地の魅力を語る中里さん

  • 敷地内に残された当時の看板

    敷地内に残された当時の看板

 照手姫誕生の伝説が残る相模湖・底沢地区で6年前に廃業した旅館「美女谷温泉」(緑区小原)。100年近い歴史を持つこの場所に今年、「相模湖を盛り上げたい」と地域創生に挑戦する地元出身の若手経営者の姿がある。

 北相中学校出身の中里雅哉さん(29)は、美女谷温泉跡地での宿泊施設創設に向け今年から準備を進めている。都心から約1時間という立地を生かし、川と山に囲まれた自然豊かな環境で「大人が安らげる場所」を目指す。

 中里さんが標榜するのは、単なる宿泊ではなく体験価値を創造する「メモリーステイ」。学生時代の仲間との再会や企業の宿泊研修での活用など、希望に合わせてオーダーメイドのプランを提供するサービスを計画している。

地域創生は恩返し

 中里さんは大学まで野球一筋。日大鶴ケ丘高校在学中には甲子園に出場し、地元出身選手として相模湖地域から多くの声援を受けた。「地域の人たちに育ててもらったという思いが強い。いつか恩返しがしたかった」と振り返る。

 大学卒業後は営業や不動産、マーケティングなどの仕事を経て、京都では観光地の飲食店運営などにも携わった。さまざまな地域を見てきたからこそ、「相模湖はいいまちだと改めて気付いた」と話す。

 5月には相模湖観光協会に入会。中里さんは最年少で、自身を除くと「若手」と呼ばれるメンバーでも40代だという。「自分が先頭に立つことで、後に続く若い人が挑戦しやすい流れをつくりたい」と意気込む。

 地域創生の方法は「住む人を増やすか、観光客を増やすかの二つしかない」と考える中里さん。一事業者として人口を増やすことは難しい一方、魅力ある宿泊施設が「目的地」となれば、人の流れを生み出し、地域全体への波及効果も期待できるという。「まずは『行ってみたい』と思ってもらえる場所をつくりたい」と話す。

100年の歴史「お忍び」の宿

 きっかけは家族との何気ない会話だった。以前から交流があった同施設の話を母親から聞き、10数年ぶりに現地へ。自身が少年野球や子ども会の行事で使用した思い出や、静かで都心からのアクセスも良い環境に魅力を感じたことから、事業承継を決意した。

 同地は絶世の美女といわれる照手姫の故郷であることからその名がつけられたとされている。山腹から冷鉱泉が湧いており、1928年に旅館として正式に創業。登山客や「お忍び」として訪れる著名人に親しまれた。しかし、客足の減少や3代目オーナーの死去により2020年に廃業。以降は建物だけが静かに時を重ねてきた。

 3代目オーナーの息子である岡本昌也さんは中里さんの父親の同級生。中里さんを「赤ん坊の頃から知っていた」ため、昨年、再建への志を聞いた際、「『本気かよ』と驚いた」と話す。それでも、中里さんの熱意に心を動かされ、同施設の譲渡を決断した。「地元をよく知る彼にだったら任せてみたい。応援している」と期待を寄せる。

1年以内の着工目指して

 中里さんは今後1年以内の着工を目標に準備を進める。将来的にはこれをモデルケースとし、古民家など地域に眠る資源の活用にも挑戦したい考え。現在は観光協会の一員としてさがみ湖湖上祭などの運営などにも関わり、仕事の傍ら地元で汗を流す日々。中里さんは「地元を盛り上げて、『行ってみたい』と思ってもらえるまちにしていきたい」と語った。

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