2016年の幕開けにあたり、本紙では笠間城治郎綾瀬市長に恒例の特別インタビューを行った。笠間市政3期目の集大成となる最後の年。新たに様々な取り組みが行われた昨年を振り返りつつ、新年度への抱負などを語ってもらった。
(聞き手/綾瀬編集室 綾部貴教)
――あけましておめでとうございます。まずは2015年がどのような一年だったかお聞かせください。
「『地方創生元年』ともいわれた昨年は、本市の強みや魅力などを見つめ直す年となりました。地方創生は人口減少問題の克服や成長力の確保を目指すもので、本市でも地域活性化推進室を新設し、総合戦略の策定作業を進めました。
地域がより元気に、そして豊かになるには、まちの特徴を生かし資源を掘り起こすとともに、その魅力を発信し、住む人と訪れる人との交流によるにぎわいを創出することが重要と考えます。
昨年3月には市の観光振興計画を策定し、新たな観光施策を開始しました。市民や商工業者が実行委員となり『光・食・文化の祭典〜Ayase Base side Festival〜』を5月に開催し、米海軍音楽隊の演奏やプロジェクションマッピングの投影、グルメ出店などが行われました。市内外から多くの来場者が訪れ、大変なにぎわいを見せました。
また、11月には新たな試みとして市内の農園と厚木基地を巡る『あやせならではツアー』を開催したところです。今後、本市の特色を生かした事業をさらに進め、多くの方が本市を訪れることで活気に満ちたまちになることを期待しています」
観光創出や工業振興に光 大型施設も順次整備
――今年は笠間市政3期目最後の年になります。この4年間を振り返り、いかがでしたか。
「私の市長3期目のマニフェストで、市の政策としても取り組んでいる『5つの力プラス1』ですが、平成26年度末までに実施率86%と順調に進めることができました。懸案だった人工透析医療機関の誘致についても昨年、実現の目処が立ち、今年の秋には開業することが決まりました。
また、市内防犯灯のLED化が完了し、安全・安心のまちづくりとともに環境負荷の軽減をより推進できたと考えています。しかしながら、工業系新市街地の整備や病時病後保育サービスなど実現に至っていない事項も残っているところですので、目標の達成に向けて全力で取り組む所存です」
ロケ誘致による効果
――昨年はシティセールスの様々な取り組みが本格的に始まりました。中でもロケ誘致は大きな前進をしたのではないでしょうか。
「官民一体で進めている『ロケとグルメによる地域活性化』ですが、おかげさまで平成26年4月のロケ誘致スタートから昨年11月末までに問い合わせが405件あり、50作品の撮影が行われました。インターネット上に『綾瀬市に有名人が来た』などの書き込みがされ、ロケ地となった場所で記念撮影をする方たちも増えているところです。映像作品を通して本市の魅力を伝えることができ、大変うれしく思っています。
ロケ誘致とともに進めているグルメ開発についても、今年4月の販売に向けて作業が大詰めに差し掛かっており、近々、皆様に良い報告ができるのではないかと思います」
工業振興と技術活用
――工業面でも「made in ayase」を掲げ、市内企業が開発するロボットの実証実験や金融機関との協定など、様々な取り組みがありました。
「本市は、県内第4位の製造業の集積を誇る『ものづくり』のまちです。これらの企業の持つ知識や技術を生かし、市内工業のより一層の活性化を推進するため、昨年7月に金融機関と『工業振興業務連携・協働に関する協定』を締結しました。販路拡大・新分野への進出・事業拡大など相互に連携して、市内企業のさらなる発展を支援します。
併せて、平成29年度末の開通を予定している(仮称)綾瀬スマートインターチェンジを基軸として、企業誘致や市内企業の育成など、引き続き工業振興の取り組みに力を注いでいきたいと考えています」
大型事業の進展
――兼ねてより進められているスマートインターに加え、神崎遺跡整備や保健福祉センターなど、大きな事業が動いた年でもありました。現在の状況などを教えてください。
「(仮称)綾瀬スマートインターチェンジ事業については、昨年から事業用地に係る関係各位への説明を開始したところです。引き続き皆様の理解を得ながら、早期に用地取得が完了するよう進めていきます。中日本高速道路(株)が行う工事についても現在、発注手続きが行われています。
神崎遺跡公園については、資料館を今年5月に開館します。公園は平成29年度中の開園を目指して引き続き整備を進めています。
地域福祉を担う拠点施設となる(仮称)保健福祉センターについては、事業用地にあった福祉会館の解体が完了し、今年度中に本格的な建設工事に着手します」
新年度に向けて
――2016年度の重点事業を教えてください。
「予算編成途中ですので具体的な事業は言えませんが、28年度予算編成の取り組みを紹介します。
私は、市民生活重視の政策として『5つの力プラス1』に取り組んできましたが、新年度についてもこの6つのテーマの事業を推進するとともに、現在策定作業中の『綾瀬市まち・ひと・しごと創生総合戦略』において新たに掲げる基本目標の実現に向け、人口減少克服・地域活性化の施策を推進します」
――2016年度予算の見通しはいかがでしょうか。
「国の経済基調判断では緩やかな景気回復が続き、雇用・所得環境の改善傾向が続いているとされていますが、本市の市税収入は税制改正による法人市民税の税率引き下げなどの影響を受け、景気好転による増収を期待できません。
歳出では、(仮称)保健福祉センター整備やインター関連事業が増額となることや、子育て支援などの扶助費の増加などから厳しい予算となる見込みです。新たな財源の確保や市税の収納率の向上に向け、なお一層の取り組みを強化する必要があると感じております」
――今年1年の抱負と市民の皆様へのメッセージをお願いします。
「本市には鉄道駅こそありませんが、約4万年前から人々が住んでいたとされており、清らかな水と豊かな自然に恵まれて幸福な暮らしがうかがい知れます。古くから住みやすい環境で幸福に暮らしてきたことから、本市には心の優しい方が多いのではないかと思っており、大きな特徴であるとともに自慢でもあります。
『人の優しさ』のみならず、本市が持つ多くの特徴を生かしながら魅力溢れるまちづくりを進めるとともに、誰もが安全に安心して生活が送れる住みよいまちとして今以上に幸福を感じていただけるよう、職員と共に一丸となって行政経営に取り組んでまいります」
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