夫の夢が2人の夢に-。綾瀬市上土棚中出身の尾崎由紀奈さんと夫・玄一郎さんが作った絵本「おしいれじいさん」が、福音館書店の出版する月刊絵本「こどものとも」の8月号で出版された。「こどものとも」は対象年齢別に4版あり、幼稚園などの団体などに多く販売されている。絵本出版は夫婦の長年の夢。努力を重ねた末、11年11月にフレーベル館から出版された乳児向け絵本「こんがらがって」に次ぐ出版となる。
20歳の頃から個展や製作活動に並行して子どもの絵画教室を19年続ける玄一郎さんは20代の頃「アーティストが創る絵本を子どもたちに届けたい」と夢を持ち始めた。同じく絵を志し、アーティストとして活動する由紀奈さんと出会い、2005年結婚。玄一郎さんの夢を由紀奈さんも一緒に追いかけるようになった。出版社で不採用の返事が来るたび、絵本を図書館で毎週20冊以上借りて読み、良い部分や欠落点を研究した。「絵描きの良しとするものと絵本界の良しとするものの違いなど、たくさん考えました」と2人はこれまでの7年を振り返る。
作品づくりは、玄一郎さんが毎日描いては家中の壁に貼るイラストから由紀奈さんがふと目についたキャラクターに設定をつけていく。そこに玄一郎さんがアイデアを加えて-。夫婦の会話から今回の出版した「おしいれじいさん」の主人公も誕生した。
夜な夜な布団のなくなった押入れが舞台。人間に隠れた不思議でミステリアスな世界が描かれている。「読んだお子さんがお昼にそっと押入れを覗いたそうで、それを聞いた時は本当に嬉しかった」と由紀奈さん。玄一郎さんは「子どもや男親にも楽しめる、日本的な絵本です。編集の方の協力もあって作りたかった絵本を作れた」と話している。同作は福音館書店(東京都文京区)でも購入できる(410円)。問合せは同社【電話】03・3942・1226へ。