国が定める「文化財防火デー」にあわせ、1月21日に熊野社(市内上土棚中)で火災訓練が行われた。市では毎年この時期に市内の重要な文化財を火災から守ることを目的に、所有者・消防機関・地域が連携して訓練を実施し、火災を発生させない防火対策の強化とその意識高揚を図っている。
熊野社は本殿、拝殿、棟札、絵馬が市の文化財に指定されている。江戸時代の1727年に再建された本殿と同年に創建された拝殿に、江戸時代後期から明治時代前期の上土棚や綾瀬市域の庶民信仰などを示す8点の絵馬が奉納されている。
訓練では本殿と拝殿が放火されたと想定し、通報から放水までを行った。実際に119番通報し、司令室から連絡を受けた消防職員が放水を実施。迅速に消火活動を行った。同日には、市内全6カ所の指定文化財管理場所でも消防用設備点検が行われた。
「文化財防火デー」は1949年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺(奈良県)の金堂が炎上し、貴重な壁画が損傷したことをうけ、55年に現在の文化庁と消防庁が制定した。以来、全国の文化財所在地で、この日を中心に防火運動などが行われている。