吉岡東にある大場工業所で9月5日から、あやせ工匠塾「守・破・離」が開催されている。同社の大場洋美取締役会長が講師となり、長年培った溶接技術を市内若手技能者に伝えた。
これは県央を中心に中小企業支援を行う専門家集団「NPOあつぎみらい21」との共催事業。市内工業の技術力底上げと、人材育成を目的に2年の歳月をかけ企画された。
企業人が他企業の人に技術を伝える取り組みは、同法人・綾瀬市双方とも初の試み。若手育成に熱意を持つ大場会長が趣旨に賛同し、実現した。
講座は実技5回とフォローアップの計6回の日程で、「溶接」をテーマに行われている。溶接技術は各社独自のノウハウとして保持していることが多く、技能伝承が難しいとされているため、若手には熟練者の技術や「勘どころ」を学べる貴重な機会になる。
実践的なカリキュラム
工匠塾には市内4社から実務経験を1年以上もつ4人の若手が参加した。各社、扱う技術や素材が異なるため、各自で持ち寄った課題をもとにカリキュラムを組むという実践的な方法で行われた。
初回となった9月5日は、「溶接技能(1)板厚6㎜迄の鋼板の溶接」をテーマに実施。半自動溶接機のメンテナンス法も学んだ。
また、大場会長の意向で講義前に各自の溶接技術確認も行っている。全6回終了後に、どれだけ技術が向上したかを確認するという。
大場工業所は、1988年創業の企業。金型溶接や特殊鋼溶接、非鉄金属の溶接、製缶、溶接による補修肉盛などを行っている。