視覚障害者からの依頼による本などの点訳や、交流会の実施等を行う「点訳グループきさらぎ会」(佐々木喜美子会長)。ボランティアセンター登録団体として発足以降、同会が長年続けている活動がある。月2回、市内や行政の情報を伝える「広報あやせ」を点訳するという、地道だが重要な役割を担う。
会発足のきっかけは、1985年に市が実施した点訳講習会。この時の参加者が「もっと勉強したい」と講師に頼み、集まったのが始まりだった。
設立後しばらくは新聞を点字に訳す練習をしていたが、市社会福祉協議会(社協)から「こういうものがある」と広報の点訳を打診された。「せっかく身に付けた知識を活かそう」とこれを受け、現在に至っている。
機器の発達で効率改善
今でこそパソコンや点字プリンターなど機器が発達し、作業がずいぶん楽になったが、当時は全て「点字板」による手打ち。多少の修正はできるが、文章として出来上がったあと誤字・脱字に気付くと、全て打ち直さなければならなかった。
最初は1冊作るのがやっとで社協の窓口に置いておくことしかできず、手間の問題から広報本紙の発行に合わせた製作もできずにいた。「今はパソコン上で簡単に直せて、すぐに何部も印刷できる。とても楽になりました」と佐々木会長は話す。現在は必要とする人のもとに、直接発送されている。
今は保健福祉プラザ内の点訳室を拠点にする同会。11人の会員が文字起こしから校正、印刷、製本まで一貫して実施。広報以外にも、カレンダーや高校の授業での絵本作成サポート等も行っている。
佐々木会長は「自分たちの活動を通して、一人での多くの人が点字に興味・関心を持ち、視覚障害について考えるきっかけになってくれたら」と話した。