市内のバス運転士・坂井昭彦さん(56)が昨年2月に発行した「吾輩は路線バス運転士である」が重版される。好評を受けてのもので、著書には46歳で教員からバス運転士に転職するという異色の経歴をもつ同氏が、約10年間の仕事の中で見て、感じ、思ったことなど様々な体験が詰まっている。
「吾輩は路線バス運転士である」は、「路線バスや運転士という仕事の魅力を、一人でも多くの人に知って欲しい」という思いで坂井さんがしたためた本。それを伝える方法を模索する中で、鉄道関連の書籍は多々あれどバスに関するものが少ないことに気付き、本の出版という道を選んだ。
さわりを書き上げ、思いと熱意をいくつかの出版社に伝えたところ、2社から反応が。この中で、地元藤沢市の会社「湘南社」での発行を決意した。
異色のバス運転士
坂井さんはバス運転士になる前、教員をしていた。昔から乗り物やバスが好きで、運転士になりたいという夢を断ち切れず「今やらなければ一生できない。きっと後悔する」と、家族を抱える40半ばの身で転職という大きな決断を下した。
もともと、趣味が高じて大型二種免許を取得していた。学校に辞意を伝え、一度は引き留められるもその決意は固く、バス会社の入社試験を受け見事合格したという。
第2の人生とも言うべき新たな世界に飛び込み、誇りと情熱を持って仕事に打ち込む坂井さん。しかし、その中でずっと「バス運転士という仕事の認知度」について忸怩たる思いを抱いていた。
「子どもの頃の夢で『バスの運転士』と書く子は多いのに、大人になるとなぜか選ぶ人は多くない。あまりいいイメージを持たれていないように感じますが、そんなことはない、素晴らしい仕事なんだよということを、実体験を通して伝えたかった」と、自らの著書に込めた思いを語る。そのため、価格も利益は考えず手に取りやすい800円(税抜)に設定した。
じわり火がつき
発行当初は微々たる売れ行きだったが、「バスマガジン」という趣味雑誌内の「新刊BOOKガイド」で紹介されたのを皮切りに、全国から注文が寄せられた。
その後も月40冊前後のペースでコンスタントに出続け、初版1千部が残りわずかに。昨年末に廃版か重版かの選択を迫られ、「少しでも需要があるなら」と重版することを決断した。
本には「バス運転士の1日」や、「交通系ICカードの罠」「バス停の忘れ物」「深夜バスでの出来事」など、運転士ならではの実体験やエピソードが詰まっている。
同書は綾瀬タウンヒルズショッピングセンター内「くまざわ書店綾瀬店」で取り扱っているほか、湘南社(【電話】0466・26・0068)に問合せれば、最寄りの書店に取り寄せることもできる。
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