不動産や商業登記、裁判事務、成年後見・相続などに関わる国家資格「司法書士」。合格率約4%と言われる難関試験で小矢部在住の安東健郎さん(69)が、4回目の挑戦で合格した。約30年の教員歴から司法書士への転身。「超高齢化社会の中、後見や相続など資産を守る仕事で社会貢献につなげたい」と話している。
今年の司法書士試験出願者は1万4988人。筆記と口述試験を経た合格者は613人で合格率約4%の狭き門だ。安東さんは現役時代、県立横須賀高校副校長や永谷高校校長などを経て、県の総合教育センターに再任用。そこで心に浮かんだのが「人生でやり残したことはないか」という自分への問いかけ。法律学科出身でかつて、司法試験に挑んだこともあり、司法書士受験に目標を定めて退職した。
勉強を始めた矢先、大病に見舞われるなど道のりは厳しかったが、宅建や行政書士の資格も取得。満を持して今年、合格を果たした。合格者の平均年齢は41・79歳。最高齢は77歳で「上から数えて7番目」と安東さん。日々の勉強場所は葉山と久里浜の図書館。午前・午後に時間を分けて集中するルーティンで、リズムを作った。試験科目は民法、不動産登記法や供託法など11科目。通信講座で学び「試験勉強も充実感があった」と振り返る。今年は、「CFP認定試験」と1級FP試験にも合格した。
「挫折」乗り越え
「人間の可能性は無限大」―。高校教員として約30年、教壇で生徒たちにそう伝えてきた。大学時代は、山谷や水俣など社会問題への関心から学校外での活動に没頭。卒業後、同級生たちが次々と法曹の仕事に就く中で、自身の目標を見いだせず、パチンコに時間を費やしていたこともあった。そんな日々が何年か続いていた中、ぜんそくで入院。病床でわが身を振り返り、一念発起して目指したのが教員。30歳を超えてようやく「手に職」を得た。
そんな経験から「人生に挫折があっても、目標を定めて努力を継続すれば、夢は必ず実現する」と語り続けているという安東さん。これから新人研修が始まるが、「次の目標は、70歳で独立開業」と意欲を語った。
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