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公開日:2026.10.23

城ヶ島 漁業の未来拓く陸上養殖 地域連携の新モデル始動

  • 水槽や太陽光パネルを設置した陸上養殖のイメージ=神奈川県提供

    水槽や太陽光パネルを設置した陸上養殖のイメージ=神奈川県提供

 海洋環境の変化による漁獲量の減少や就業者の不足など、漁業関係者に厳しい風が吹くなか、神奈川県は10月16日、三浦市三崎町城ヶ島で地域と連携した新たな陸上養殖モデルの実証事業を開始すると発表した。

 近年、地球温暖化に伴う海水温上昇によって海洋生態系が変化し、全国的に漁獲量の減少が続いている。資源減少は漁業者の収入悪化を招き、地域経済にも深刻な影を落としている。

 こうした中、「持続可能な水産物の供給体制」の構築を急務とする県は、天候や海洋環境の影響を受けにくい「陸上養殖」に着目。ただ、漁業者が単独で取り組むには設備投資や飼育管理の面で負担が大きいことから、県は地域の漁協や大学、民間企業など5者と連携し、官民学の強みを生かした新たな陸上養殖モデルの構築を目指す。

コスト削減への工夫

 日本各地で広がりを見せる陸上養殖だが、今回の実証実験における特徴は「閉鎖循環型」である点。陸上に設置した水槽内の海水を循環させる方式で、海からポンプで海水を引き込む「かけ流し式」と異なり、内陸部でも運用が可能となる。

 一方、課題は水温調整装置やろ過装置を24時間稼働させるための電気代といった莫大なランニングコスト。そこで、今回の事業には水素エネルギーや太陽光発電の普及に取り組む企業も参画し、費用の軽減を図る。

 こうした体制のもと、今後は三和漁業協同組合城ヶ島支所の敷地内に水槽や太陽光パネルなどを設置し、12月中旬から2カ月間にわたってハタ科の「クエタマ」を養殖する。横浜国立大学による経済波及効果の調査も実施し、新たな収益機会創出の可能性を探る。

克服へ膨らむ期待

 近年、漁業者を苦しめているのは海水温の上昇に加え、台風や爆弾低気圧など荒天の増加。海が荒れると出漁できず、同漁協の石橋英樹支所長は「海洋環境の変化は漁師にとって死活問題。残念ながら、海で魚を獲るだけで生計が成り立つ時代ではない」と話す。

 それだけに今回の取り組みへの思いは強く、「実証事業が成功すれば安定した漁獲量が確保され、全国の漁師にとって良いモデルになるはず」と期待を寄せている。

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