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三浦版 公開:2015年1月1日 エリアトップへ

正月特別編 三浦の散歩道 女性だけの小正月行事「チャッキラコ」

文化

公開:2015年1月1日

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成人女性の歌に合わせて少女が舞い踊る「チャッキラコ」が1月15日(木)午前10時30分頃から海南神社で行われます。今回は、三浦の民俗芸能「チャッキラコ」の歴史などを紹介します

 三崎の仲崎・花暮区に伝わる女性だけの小正月の行事に「チャッキラコ」があります。民族芸能として、昭和45年5月14日に神奈川県の無形文化財、昭和51年5月4日に国指定重要無形民俗文化財に指定されました。平成21年9月30日には、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

 「チャッキラコ」とは、「毎年正月15日に花暮の本宮に踊子達が揃い、神官のお祓いを受けて始まり、引続き三崎の鎮守である海南神社の神前で奉納されるが、神事舞ではない。楽器はなく、7、8人位の母親達の素謡(うた)い。舞子(まいこ)は、5、6歳位から12、3歳位まで。人数は10人位、制限はない。舞子の持ち物は扇で、2番目の「チャッキラコ」の場合だけは「コキリコ」(綾竹・綾・チャッキラコ)と呼ぶ竹の小切れに色紙の飾りと鈴を付けたのとを取り換えて踊る。歌の種類は6種を連続して歌う」(『国指定重要無形民俗文化財「チャッキラコ」解説』より)。

 踊り子の衣装は保存会で用意した同じ着物を着ています。江戸時代の宝暦6年(1756)に書かれた『三崎誌』(木村草也著)によれば「15日、町中火防神事有。同日本宮社祭同日、女子ともはつせおどりヒヤリともいふ」とあります。「はつせおどり」を「ヒヤリ」とあることについて、漢字で「日遺(や)り」と言うのであれば、日待ちの意で「神のおそばに居て夜を明かす」ことで、後に日や月の出を待つ「月待」に通ずるところです。これに従えば、15日の夜、女達が集まって、神におこもりした時に踊ったとも考えられます。 花暮に住んでいた鈴木ツルさんの歌詞覚帳には「左義長の舞い」とあったといいます。昭和の初期にはこのように呼んでいたのでしょう。鈴木さんによれば「14日の左義長が終わった後、サイノカミの宿でははちはらいがあって、その時小豆粥を食べる風習があった。その小豆粥は翌朝(15日)の踊り子達の祝い膳に付けられる習慣があった」と言うのです。「はつせおどり」については、文化12年(1815年)、横須賀市の諏訪神社へ下宮田村近辺から「八ツセ踊り」の早乙女が来たという記録があるとのことで、昔は他の地区にもあったのでしょう。

 1月1日を大正月とし、15日を小正月と称したとも言われています。小正月の小豆粥の中に左義長の火であぶった餅「力餅」を入れたというのです。「左義長」とは、宮中で正月15日の朝に行われた悪魔払いの行事で、清涼殿の東の庭に青竹を束ね立てて吉書、扇子、短冊を結びつけ、陰陽師などが謡い、はやしながら焼いたもので、民間では竹を立て、書初めや注連縄(しめなわ)、門松などを一緒に焼いて「どんどん焼き」「さいとやき」とも言われています。「チャッキラコ」の中で扇を持って舞う「初いせ」は「神事舞踊系」と言えましょう。扇は元来、神にもの申す場合必ず手に取り、あるいは前に置くものであったのです。「晴れ」の場合であるから、元は白であったのでしょうが芸術性を重視することで、ハナヤカなものに変わったのでしょうか。一方、綾竹を持つ「ちゃっきらこ」は巷間(こうかん)舞踊系と言えましょう。

 「チャッキラコ」の踊りの由来について、2つの説が伝えられています。一つは、海南神社の祭神藤原資盈(すけみつ)公の奥方盈渡(みつわたり)姫が土地の娘に教えたという説で、もう一つは、三崎に来遊した将軍頼朝公が海辺にいた親子連れの女に舞を所望したところ「私は年老いたから代わって娘に踊らせましょう」と、笹薮から小竹を切ってきて、それを娘に持たせ、親が歌って子が舞ったというのです。
 

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