修正内容に異議があるとして、葉山町が再度議決をするよう求めた「第3次葉山町総合計画後期基本計画」について同町議会は11日、本会議で修正案を再可決した。9月に改正自治法が施行されて以降、県内で初めての再議となったが、原案可決を望む同町の意向は受け入れられなかった。同町は「再議が認められなかったのは残念だが、行政の思いが伝えられたことに意義はある」としている。
同計画は第3次町総合計画を実現するための基本構想を盛り込む。同町が2010年度に策定に着手し、町民へのアンケート調査、パブリックコメントなどを経て原案を作成した。
6月議会で原案には年次目標などに問題があるとされ、修正案では計画期間の短縮などが追加された。
修正案の中で山梨崇仁町長が異議を唱えたのがごみ処理基本方針の「近隣自治体との連携によるごみ処理の基本方針の明確化」「近隣自治体との協議に着手」の部分。ごみ広域化からの脱退を巡って、現在東京高裁で横須賀、三浦市と係争中という事実を踏まえ「具体的な協議相手の選定がないまま『協議に着手』と決定づけても不確実性が高く、職員の混乱を招く。基本計画との整合性も図れない」と指摘した。さらに「修正内容は町の執行権まで及んでおり、議会本来の機能を超えている」と原案の正当性を主張した。
山梨町長は閉会後、原案が認められなかったことについて「残念」としつつも、「基本計画の策定がこれ以上遅れれば、来年度予算の編成ができず、町政に停滞をきたす。議決を尊重して計画を進めたい」と話した。
再議は議会や長の権限確保のため設けられた制度。再議に付されると議案は議決まで遡り、効力を失う。これまで条例と予算の範囲で認められていたが、9月の法改正で総合計画などの議決事件まで拡大された。
記者の目「審議は充分だったか」
11日の本会議で計画修正案は賛成9、反対4で可決された。再議に付されたが結果は5日と同じで翻ることはなかった。
山梨町長が指摘した再議理由は妥当だった。たしかに係争中の事実を置き去りにしてその先の目標を定めることなどできまい。本会議では再議が申し立てられたことについて議員から「議会の権能を無視している」など再議そのものへの批判が相次いだが、再議理由に伴う修正案の審議についてはほとんど行われなかった。
計画を執行する権限はあくまで町長にある。議会は近隣自治体との調整を図ったり、職員に指示する立場にない。ならば、町が提出した再議の理由について議会は十分に審議を尽くすべきではなかったのか。
可決された以上、町は修正案にそって計画を進行しなくてはならない。まちづくりの骨格構想にあたる基本計画。議決の際には感情論ではなく、本質をついた議論で臨んでもらいたい。
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