本紙では1年の幕開けにあたり、平井竜一逗子市長に特別インタビューを行った。平井市政2期目の折り返し。公園化計画が進む池子米軍住宅地区40haや財政対策などについて昨年を振り返ったほか、今年を「市民協働の新たなステージへの移行期」と位置づけるなど展望を語った。(聞き手・本紙編集長 佐藤弦也)
--平井市政2期目の折り返しを迎えましたが「土台作り」とした一昨年に対して昨年はどんな1年でしたか。
「これまで重要課題として位置づけてきたものが着実に前進した年だと思っています。特に、池子の共同使用予定地の公園化に向けた基本計画の素案を市民の皆さまに説明できる段階になり、共同使用に向けた米側との調整も確実に進んでいます。そこが目に見える形での大きな進展と捉えています」
--公園化については利用方法の素案がまとまりました。平成26年度開園に向けて今後の取り組みは。
「今年度中に基本計画を固めます。共同使用については、今後、米軍と使用協定を締結し、許可を得るという流れです。公園整備は共同使用の許可後となりますが、平成26年度の後半には許可がもらえるよう、当面は、使用協定締結に向けて、管理・運営についての協議を進めていくことになります」
--財政負担の見通しは。
「基本計画案にあるアーチェリー場、あるいは青少年のための野外活動施設などは市の計画に位置づけているものなので、市が設置することになります。それに必要な財源をどう確保するかは国との交渉を含めてこれからの課題です」
--3・11以降、防災対策の見直しが急務となっていますが、逗子市の進捗について教えて下さい。
「平成23年度に地域防災計画の見直し作業が始まって、県との調整に時間がかかりましたが、ようやく昨年の12月市議会で地域防災計画の大幅見直しを報告できました。もう一つは昨年3月に県が津波浸水予想を公表しましたので、それを受けて今年度内に新しいハザードマップを全戸配布します。同時に津波避難ルートの表示や市内学校との災害協定など、災害時の体制強化は現在進めているところです」
--被災地支援については。
「昨年12月から交流センターで、ポスターや写真展示など被災地支援活動のPRをする『応援・防災ひろば』が始まりました。3月まで毎月11日に続けていく予定で、3月9日から11日までの3日間は災害ボランティアセンターの設置や防災フォーラムなどのキャンペーンも行います」
--ごみ問題についてです。現在行われているクリーンセンター改修工事の進捗はいかがでしょうか。
「クリーンセンターには焼却炉が2炉ありますが、改修のため1月から5月までは休止します。1炉終わったら順次運転を再開し、平成25年度中に2炉とも改修を終える予定です」
--最終処分場が満杯間近という現状を考ると減量化が今後一層重要になります。
「そうですね。昨年は生ごみの分別と資源化を逗子ハイランド地区の自治会の協力でモニタリング調査を行いました。今後結果を受けて、全市的な取り組みにできるか検討します。また今一番の課題は一般家庭の燃やすごみの有料化です。昨年12月から導入に向けた本格的な議論をスタートさせました」
--有料化は全市民に関わることだけに非常に大きなテーマとなります。具体化の時期などは。
「どのくらいの時間かけて議論がまとまるか、審議会の答申を待たなければなりませんが、対象とするごみの種類、料金体系、その他併用策の検討をし、市民への説明、パブリックコメント、最終的に議会に提案をして、議決が得られるまでに少なく見ても2年はかかると考えています」
--県内でも有料化は藤沢市や大和市がすでに導入しています。やはりごみそのものを減らすのに有効な手段とお考えですか。
「そうですね。市の一般廃棄物処理基本計画にも位置づけられていることですし、基本的にはそれに添って、具体化への道筋をつけるべきと考えています」
--昨年10月に市役所1階に設置した「エコ広場ずし」が活況です。
「おかげさまでオープンからわずか4ヶ月で非常に成果があがっています。今後はこれを市内各地域に拡げていきたい。例えば各小学校区に一つずつ。今まではごみとして捨てられていたものが地域の中で資源として循環してくことが減量化にも繋がります」
--行政事業の一部を民間委託する計画が進んでいます。進捗を教えて下さい。
「昨年3月にロードマップ(行程表)ができまして、それをもとに現在各担当が詰めの作業を行っているところです。今のところ文化ホールと逗子アリーナの指定管理を平成26年4月目指して準備を進めています。その翌年は図書館と交流センター、最終的に市内8施設・業務を民間委託することを念頭に置いています」
--その背景は。
「一番は財政のスリム化です。直営でやっているものを民間に委託することで人件費が削減できますし、施設運営の面でも、ノウハウを持つ民間を活用した方が、今よりもプラスアルファの効果が期待できます」
--昨年から小学校区での「地域自治」推進を掲げていますが、現状は。
「今年度は各地域に骨子案を説明して、それぞれ準備の整ったところから制度を検討してもらうための懇話会を立ち上げています。昨年10月に沼間で、この2月には小坪でも懇話会が立ち上がる予定です。地域自治については平成25年度前半で逗子市としての制度決定をし、26年度から正式に導入したいというのが現在の目標です」
--市民からの反応はいかがでしょう。
「地域ごとに受け止め方に温度差はありますが、大半は地域で連携することはいいことだという受け止め方をしていただいているように思います。ただ一部で負担が増えるのでは、という懸念の声もありますので、無理のない範囲で何ができるか、議論を通じて皆のコンセンサスを取りながら進めていきたい」
--他市では昨年、地域自治に似た取り組みが頓挫した経緯があります。
「やはり地域の方に主体性が意識されないと、失敗に繋がると考えています。行政だけではできないことはたくさんある。例えば、要援護者の救援体制。東日本大震災で目の当たりにしたように、行政は大災害時下では機能に限界があります。命を守るために地域の人たちがお互い助け合って逃げる、またともに避難生活を送る。まさに地域で考えるべき重要な課題です」
--現在使用が休止になっている第一運動公園の整備状況はいかがでしょう。
「12月市議会で議決を得ましたので、今後建設工事に着工します。今のスケジュールでは8月上旬にはプールをリニューアルオープンさせたい。その他の建物はまだしばらく時間がかかりますが、平成25年度末には完成させ、26年中にフルオープンの予定です」
--ここ数年財政面で厳しい状況が続いていますが、来年度の予算の見通しは。
「来年度も相当厳しいというのが正直なところです。24、25年度は様々な整備事業集中しており、通常予算170億円規模のところ200億円程度に膨らんでいます。市税収入も今後減少していくことが予想されるため、この2年間は財政的に厳しい中で動くことになります」
--2013年、どんな年になりますか。
「地域自治の議論が本格的に進んでいきますので、市民協働、行政と市民の関わり方の新しいステージに行く年と言えるでしょう。同時に総合計画の議論も進みます。将来の市のビジョンを共有しながら、行政と市民皆でその仕組みを作り上げていく年になります」
--最後に市民へのメッセージをお願いします。
「年々、市民活動が活発になってきていることを肌で感じています。皆で力を出し合って、地域を元気にしていきましょう」
「将来のビジョン、共有を」
池子40ha公園化・可燃ごみ有料化・8施設民間委託・第一運動公園整備
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