都市基盤整備
「スピード感が重要だ。ヘルスイノベーションの最先端拠点として、アジアにおいて世界に通じる玄関口になる」
(株)NERV(ネルフ)代表で、2018年に武田薬品湘南研究所跡に設立された湘南アイパークの立ち上げに携わった久野孝稔さん(47)が言葉に力を込める。
昨年末、JR東海道線の藤沢―大船間で2032年頃の開業を見込む「村岡新駅(仮称)」周辺で新たなまちづくりが始動した。
藤沢市は、都市計画行政の基本となる都市マスタープランで村岡新駅周辺を6つの都市拠点の1つに位置付ける。昨年10月には村岡地区と隣接する鎌倉市深沢地区の土地区画整理事業について国交省が事業認可。12月には市が都市開発の事業者を公募するために選定した事業検討パートナーと基本協定を締結した。
海に面し、明るく開放的でのんびりとした雰囲気―。村岡新駅周辺地区が目指すまちづくりは、そんな従来の「湘南」に抱かれるイメージとは別物だ。
新駅が立地する村岡地区は7haで、深沢地区の31haと比べればコンパクトながら、周辺にはライフサイエンスや健康医療、ものづくりに関連する事業所が集積。市は21年3月に策定した村岡新駅周辺地区まちづくり方針で、「創造性」に着目し、ライフサイエンスに関連した「研究開発拠点の形成」を将来的な地区像に掲げる。新駅の開業と同時期のまち開きが予定されており、地元経済への波及効果にも期待が高まる。
市議の一人は「事業が進めば当然ながら村岡地区周辺の価値は上がる。物価高騰に伴う新駅整備費の負担増など懸念はあるが、先進的な取り組みは藤沢の魅力を高めることにもつながる」と展望する。
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新たなまちづくりの象徴的な存在とも言えるのが、健康医療や創薬などのオープンイノベーションの拠点として110を超える企業や団体が入居する湘南アイパークだ。「世界に開かれたエコシステム」の形成を掲げ、昨年4月には新会社を設立し、さらなる事業拡大に向けて運営体制を刷新した。
拠点形成に向けては、すでに県や藤沢鎌倉両市、湘南鎌倉総合病院との5者で覚書を締結。医療と次世代の移動システムを融合して地域医療の質を高める「ヘルスケアMaaS」など具体的なプロジェクトが進んでいる。
日本は超高齢社会に突入し、ヘルスイノベーションは世界が熱視線を注ぐ産業分野だ。最先端技術は加速度的な早さで進化を続けている。久野さんは言う。
「今や日本の課題解決の一丁目一番地と言っていい。世界に誇れる湘南発の新たなモデルを作るためにも、まちづくりの機運を早期に醸成してほしい」
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任期満了に伴う藤沢市長選が2月11日に告示される。現職と新人の計3氏が出馬表明し選挙戦の構図がほぼ固まった。市の課題を検証する。
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