2月19日付けで江の島観光会の会長に就任した 金子 順一さん 江の島在住 54歳
受け継ぐ 江の島愛
○…国内有数の観光地である江の島。参道の飲食店や土産物店を中心に38人で組織する江の島観光会の会長に就任した。「先輩方が築いてくれた、お客様が安心して訪れることのできる環境を引き継いでいきたい」と表情を引き締める。
○…観光業に大きな影響を与えた新型コロナ禍では、江の島も客足が激減し、経営難に直面する事業者も居た。5類移行から現在は「来客数が以前に戻ってきている」と、にぎわう参道を見つめる。一方で、訪日外国人客が減少し近隣からの若い家族客が増えた。キャッシュレス決済の普及など、観光業にも時代の変化が起きている。会員への情報発信をはじめ、市観光協会と連携した歴史ツーリズムや宿泊客増加に向けた取り組みも視野に入れる。
○…江戸時代末期から続く海産物専門店「江島屋商店」の5代目に生まれた。大学卒業後はスポーツ関連の施設やイベントを運営する財団に就職したが、頭の片隅にいつも「お店のことがあった」という。父親の還暦を機に店を継ぐ決意を打ち明けると、「お前がやってくれるなら…」。安堵する父親の表情は今も忘れられない。海産物は味が多くを語る。「一つでも美味しくない品があれば、店全体の印象になってしまう」と、仕入れの厳選は妥協しない。「『江の島に来たらいつもこれを買う』と言ってもらえるのがうれしいよね」。満面の笑みから日々の充実感が伝わる。
○…夫人との間に2人の子に恵まれた。まだ子どもたちが小さい頃、通学する姿に「いってらっしゃい」「お帰り」と地元の人が自然に声をかける。自身の幼い頃と変わらない島の日常。「江の島が一つの大きな家族のような温かさ。居心地の良い場所」。胸に宿る江の島愛を次代につなぐ。
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