「藤沢メダカの学校をつくる会」創設メンバーで現会長を務める 菊池久登さん 辻堂在住 70歳
移ろいゆく自然見つめて
○…絶滅したと思われていた藤沢メダカを故郷に帰そうと、教員有志が集まり、保護や周知に取り組んできた「藤沢メダカの学校をつくる会」。市教育委員会の理科担当として創設から携わり、２代目会長を務める。今月にはしばらく途絶えていた地域への放流を再開し、繁殖を目指す実験を開始した。「自然の中で定着していくのが一番の目標。今回の放流は活動の新たな１ページ」と目を細める。
○…会発足から約30年。取り組みを続けてこられたのは数多くの関係者の協力があってこそ。特に印象深いのは、分庁舎にメダカ池を設置した時。「たくさんの人に関心を持ってもらえたら」と、設置のために１００円募金を実施した。「学校や教え子の家の寿司屋なんかにも募金箱を置いてもらえてね」。そうして集まった金額は35万円。「子どもから年配の方まで、大勢の人が寄付してくれた」と懐かしむ。
○…長野県出身。「ここにはたくさんの蝶がいるけれど多くの人はそれを知らない。記録して残さなければ」。山や川で遊びながら育った少年時代、標本づくりを教わった教師の一言が心に響いた。海にあこがれて25歳で辻堂へ移り住んでからもこの言葉は胸に刻まれている。最近の趣味は、江の島の磯に出て生き物の姿を撮影・編集し、ＹｏｕＴｕｂｅで配信すること。「お金になるって聞いて」と笑うが、これも記録の一つだ。
○…体力面も踏まえ今年度で会長を引退し、３代目にバトンを引き継ぐ。放流は再開したが、飼育されていたメダカが野生に戻るまでは、息の長い活動が必要だ。天敵である外来種の対策など課題も残る。「どんどん輪を広げて、へこたれずに」。ＯＢの一人として温かくエールを送った。
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