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藤沢 社会

公開日:2026.09.18

【現場ルポ】住むだけでエコから持続可能な暮らしへ サスティナブル・スマートタウンの現在地

  • 説明を受けながら街を巡る参加者ら

    説明を受けながら街を巡る参加者ら

 パナソニックの工場跡地を活用した官民一体の街「Fujisawa SST」(辻堂元町)の視察ツアーが11日に開かれた。藤沢市内で活動する朝活の会「あさびや」のメンバーら12人が参加。その一人、本紙記者も取材を試みた。誕生から12年が経とうとする今、街がたどってきた軌跡と「生きるエネルギーがうまれる街。」と銘打った成長期に向けたリアルな課題を探った。

12年目の到達点

 約19ヘクタールの敷地内に約3千人が暮らす複合型の街。太陽光発電システムや蓄電池の標準装備など先進的なインフラを整え、2014年の街開きから24年の開発完了以降、30年は街を進化させる成長期に入った。

 この日会場に集まった一行は、Fujisawa SSTマネジメント(株)の担当者らから、産官学民が一体となるコンソーシアム体制の背景や「くらし起点」の街づくりへの転換などについての説明を受けた。

 その後、同社ツアーアテンダントの案内で、モビリティーサービス拠点やシニアレジデンス・保育園など多世代が交流する複合施設、蔦屋書店を中核とした文化商業施設「湘南T─SITE」などを巡った。

時代とのギャップ

 街を一周した参加者と担当者は、再び最初の集合場所へと戻り、セッション。これまでの運用に課題も見えてきた。

 街開き当初に多かった小学生世代は成長し、現在は40〜50代が約40%を占めるなど、コミュニティーの担い手が変化。また敷地内でのID認証や各種サービス利用に用いられたタウンカードはスマートフォン決済の普及などで22年に運用終了になったほか、太陽光発電やエネファームなど更新時期を迎える設備の買い替え費用は、住民の理解を得ながら資金計画を立てる重要性などが浮き彫りとなった。

多世代共生の未来

 続く質疑応答では参加者からの「立ち上げ初期に戻れるなら何をしたいか」という問いに対し、担当者は「当時はハードの売り切り中心だった。でもサブスクリプションやリースなど、サービスとして提供するモデルを組むべきだった」と振り返った上で、住民の更新費用リスクを軽減できた可能性に言及した。

 将来像については「多世代同居・多世代共生の軸は変わらない」と強調。高齢者向けサービスを拡充しつつも、「若い世代にとっても魅力的な街であり続けるバランスが大切」と語った。

 また別の参加者から「テクノロジー主導の都市よりも、人の生活に寄り添う街の方が居心地が良いのでは」と指摘されると、「テクノロジーとコミュニティーの共進化は不可欠」と担当者は半分同意。住民の生の声を拾い、実証実験を通じて新サービスを還元する場として街を進化させたいという方向性を語った。

 スマートタウンであっても、高齢化や設備の老朽化という波を避けて通れないことが示された。それらの課題を共創の糧とし、あらゆる人と共にアップデートを重ねていくことが必要だ。「箱づくり」から「進化し続ける暮らしの場」へ。日本の都市開発が目指すべき持続可能なモデルになるか、見守っていきたい。

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