女性が開発に貢献した優れた商品やサービス、アイデアを県が認定する「神奈川なでしこブランド」制度。今年度の認定商品がこのほど発表され、井上蒲鉾店の「アカモクのさつま揚」が選出された。開発には鎌倉女子大の学生と共同で取り組むなど、女性の視点も存分に活かし、地域を代表する老舗に新たな看板商品が誕生した。
「神奈川なでしこブランド」は女性の活躍を応援しようと、神奈川県が2013年度にスタートさせた制度。今年度は47件の応募があり、食料品や生活用品など14件が認定された。
市内から選ばれたのが、由比ガ浜に本店を置く(株)井上蒲鉾店(牧田知江子社長)の「アカモクのさつま揚」。海藻の一種で、鎌倉近海でも採れるアカモクを使った商品だ。
アカモクはフコイダンやアルギン酸など機能性成分を多く含むうえ、低カロリー、高繊維質など優れた特徴を持つが、これまではほとんど使い道がない「未利用資源」だった。
「鎌倉の蒲鉾店として、地元の水産資源を使う商品を作りたかった」と、同社の牧田社長がアカモクを使った商品開発に乗り出したのは3年ほど前。素材となるアカモクの確保は、鎌倉漁業協同組合に協力を依頼し、試作品づくりには、鎌倉女子大学・谷口亜樹子教授のゼミ生たちと共同で取り組んだ。
「何よりもこだわったのが、おいしいかどうか。アカモクには健康面で優れた特徴があるが、それだけでは食べ続けてもらえない」と牧田社長が話すように、素材の良さと味を両立するため、試行錯誤が続いた。
そして約1年前に「さつま揚」が完成。アカモクの食感を残しながら独特の臭みを消すため、歯ごたえと香りの良いごぼうを練りこんだものやキノコ、青ネギ、シラスが入ったものなど4種類を開発した。また小ぶりな一口サイズにしたのは「食べやすいように」という学生たちの意見を反映した。
その後、完成した同商品を全国の蒲鉾事業者による品評会に出品したところ、会長賞を受賞。大手百貨店が企画した大学協働商品を展示するイベントでも好評を博したことから、商品化が正式に決定した。
昨年夏頃から店頭に並んでおり、現在は鎌倉駅前店などで販売している(アカモクの漁獲量が少ないため、商品が作れない日も)。
牧田社長は「様々な人との連携と協力で、鎌倉ならではの商品ができたことがうれしい。なでしこブランドの認定を弾みに、こうした取り組みをより進めていきたい」と話している。
問い合わせは、同社本店【電話】0467・22・1133へ。
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