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公開日:2026.10.30

黒岩知事が秦野厚生病院を訪れ、「行動制限ゼロ」の先進事例を視察

  • レクリエーションの様子を見学し、交流する黒岩知事

    レクリエーションの様子を見学し、交流する黒岩知事

 医療法人社団 厚仁会 秦野厚生病院(坂井喜郎院長)を10月23日、黒岩祐治神奈川県知事が現場訪問した。県の精神科病院における行動制限最小化のための取り組みの一環で、その先進事例として初めての視察となった。

 当事者目線の精神科医療の実現に向け行われている行動制限最小化の取り組み。県では県内数カ所の施設が参加し年数回の会議を行うプロジェクトチームを立ち上げており、秦野厚生病院はその一施設となる。

 精神科病院では専門医の判断によって患者の隔離・拘束が認められているが、秦野厚生病院では認知症病棟で行動制限ゼロ、急性期病棟でも最小限に抑えている。身体拘束・行動制限ゼロを掲げる県では、その先進事例の一つとして厚生病院を視察先に選んだ。

「イメージ変わった」

 病院に到着し、坂井院長から概要や取り組みの説明を受けた黒岩知事。その後、認知症病棟、急性期病棟保護室、精神科デイケア、通所リハビリセンターを見学し、院長や病院スタッフと意見交換を行った。意見交換の席では、同病院が拘束ゼロの取り組みを始めた経緯やその方法、患者の就労支援などが話された。

 視察を終えた黒岩知事は、「昔見た精神科病院は、鉄格子がある部屋があるなど異様と言える空間でした。でも、ここはイメージが違って、全体的に明るくにぎやかで、楽しそうだった」と述べた。また、「これだけの環境を作るまで、並大抵の努力ではなかったと思う。長年の積み重ねによって実現した、医療現場にとって明るいモデルになる」と話した。

地域の精神医療支え

 同病院は1948年、無医村だった大根村に開院したのが始まり。ベッド数は160床。入院病棟は急性期治療病棟、あじさい病棟(認知症病棟)、精神療養病棟があり、県内の外来患者数の1割を占めている。

 同院が拘束ゼロに向けた取り組みを始めたのは、2012年から。「認知症は人生の最後になる人がほとんど。その人達がベッドに縛られる最期でいいのか」という院長の思いから、認知症でも拘束せず過ごせる病院に、と始めた。

 同院でも当初は半分以上の患者が拘束されており、スタッフから最初は不安の声が上がっていた。特に転倒リスクの不安が大きかったそうだ。

 実現のため、現場や患者の家族の理解を得て「ユマニチュード」というケアの手法を取り入れた。「これを知る前後で大きく変わった」と現場スタッフは話す。その後、2019年に拘束ゼロを達成している。

 また、入院患者の就労にも力を入れている同院では、ステップを踏んでの正規雇用後に働きながら介護福祉士の資格を取った人もいる。

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