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横須賀・三浦 社会

公開日:2012.04.06

連載:横須賀の子育て環境を考える―【5】
幼保一元化で保育の質は-

 これまで2回に渡り、保育所・幼稚園のしくみと役割を説明してきた。横須賀で見ると、ある程度の「棲み分け」ができているように思う。一方、政府は子ども・子育て新システム検討会議で、就学前の子ども向け政策を一本化する「幼保一元(体)化」を進める。この改革は、子育て環境の改善につながるのか。



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 「待機児童解消と就学前の子どもの縦割り行政の解消」を目的とする「幼保一元化」。2015年の本格実施を目指すとされているが、どのような仕組みなのか。分かりやすく言うと、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ『総合こども園』を設置し、従来の保育所・幼稚園を移行させるというもの。保護者の就労状況に関わらず、「すべての子どもが公平に保育・教育を受けられること」が根本的な考え。この前段階として2006年から、保育所と幼稚園の機能を備えた『認定こども園』の設置が制度化されたが、神奈川県内では、制度開始から5年で28園に留まる(横須賀市内はゼロ、設置していない県もある)。「双方の良さを兼ねそろえた施設」だが、管轄官庁や設置基準などさまざまな”法律・制度の違い”が設置を難しくしていると言われる。運用・運営面での施設側の負担も大きく、「より質の高い教育・保育の提供」というメリットに対して、二の足を踏んでいるという状況だ。



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 新制度では、現状の認可保育所・認定こども園・幼稚園をそれぞれ4つのタイプの「総合こども園」に移行させるとしている(上記表)。これまで行っていた助成・補助金のシステムは再編され、「こども園給付」とする、運営に関しては民間企業の参入を認め、保護者は施設を自らが選んで直接契約する―など、その構造は複雑化。自治体は、児童福祉法24条に規定される市町村の「保育の実施義務(待機児童を解消する義務など)」がなくなり、保育の必要性の認定だけを行う立場になるという。



 さらに、総合こども園には0〜2歳児の保育を義務付けておらず、目的とする待機児童の解消にはつながらないという見方もある。教育・保育の質の低下を危惧する声もあり、県内では逗子市議会や葉山町議会などで、児童福祉法24条の堅持も含めた慎重な対応を求める意見書を採択するなど、新システムに対する反対・撤回を求める動きも見られる。



 「子どもの保育・養育・教育を、”システム”で大きく変えてしまうというのは違和感がある、当の子どもを置き去りにしないで」と話す市内の幼稚園関係者。さらに「横須賀市は中核市として、この制度改革をどのように捉えているのか明確にしてほしい」と付け加える。大人の都合で子どもを振り回すことのないよう―その動きを見守りたい。

 

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