川崎区・幸区 社会
公開日:2026.05.29
新年度始動 3副市長が語る市政の課題と抱負
2026年度の本格的な始動にあたり、本紙では川崎市の舵取りを担う3人の副市長にインタビューを行った。新体制のもと、それぞれが直面する市政の課題や、未来に向けた決意を語った。
「選ばれる街」川崎へ三田村有也副市長
約10年ぶりに改定された川崎市総合計画に触れ、「従来施策に比べ、人口が減少する中で、社会をどう維持するか考える局面にある」と指摘。「人口の取り合いではなく、産み育てたいと思えるよう構造的な対策が必要」との認識を示す。
教育施策の柱に据えるのが、理系人材を育てる「高等専門学校(高専)」の設立準備だ。デジタルやAI技術への企業ニーズは高く、そういった次代の産業の担い手となる人材を育成し、輩出する狙いがある。スケジュール感を問われると「年内には具体的な進め方を示したい」と語る。
子育て支援では、デジタルと地域を融合させた「つながりの強化」を急ぐ。今年の1月にリニューアルし、月3000件ペースで登録者数が伸びている「子育てアプリ」を起点に、一時預かりなど子育て支援を強化。親が一人で悩まず、孤立しないコミュニティー形成を追求する。
不登校対策としての校内への居場所設置、さらなる子どもの安全安心のための地域と連携した「朝の居場所づくり」をモデル展開する。福田紀彦市長が掲げる「選ばれる川崎」に向け、安心して育てられるまちづくりに取り組む。
全体最適で次代の川崎へ白鳥滋之副市長
局長時代と比べ現場との「距離感」が少しあるとのことだが、それは役割の違いと認識。「副市長には『個別最適』ではなく、『全体最適』を見据えた広い視点が求められる。市政を進めるにあたっては市内だけでなく社会の動きまで意識して見ていきたい」と語る。
注力ポイントとして挙げるのが、「臨海部を中心とした産業転換」への取り組み。石油化学の時代から産業構造が変化する中、「今どうするかが将来に繋がる大事な時期」と強調する。一自治体で完結する話ではなく、民間企業と共に新しい価値を創り出す「共創」の姿勢を重視。組織や企業間の連携を強める「つなぎ役」として、現場の活動を後ろから支え、挑戦を後押しするサポーターのような役割を担う考えだ。価値を創造するきっかけを作り、さまざまなプレイヤーを支えていきたいという。
「楽しく働ける職場」を大切にする。職員が仕事に誇りを持ち、日々の業務を通じてやりがいや成長を実感できる環境の構築を目指す。「市民に貢献できる素晴らしい仕事。職員が前向きに挑戦できる空気感が市政の発展につながる」。人材育成を通じた未来作りへの決意を示す。
外の目、現場主義でまち活性八尾光洋副市長
国土交通省から出向し、副市長就任を「ゼロからの出発」と捉える。その一方で、外部出身ならではの目線で川崎のポテンシャルを冷静に整理する。
道路局や貨物鉄道の担当を歴任した経験から、川崎市が注力する「川崎臨海部の再編」については、東京湾全体での道路・港湾の機能分担のあり方に着目する。インフラ新設だけではなく、視点を変えて既存資産のポテンシャルを最大化させることで、地域経済の活力を維持する可能性を探る。
「自ら汗をかき、土をつかむ現場を知らなければ、市役所の仕事は分からない」とも語り、道路公園センターなどの現業部門へ自ら足を運び、現場と打ち解けるための方法を、現在模索している。前例や既存手法に捉われない姿勢を通じて、組織の根元から稼働率を最大化させる実効性のある策を導き出す。
睡眠時間は1日2時間程度のショートスリーパーだが、午後の議論で頭を回転させるため、昼休みは枕を持ち出して「ぐっすり寝る」のが中央官庁時代からの日課だ。マクロの視点と現場の状況を突き合わせ、川崎の新たな可能性を探っていく。
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