川崎区・幸区 人物風土記
公開日:2026.07.24
海の安全を守る川崎海上保安署の署長に就任した 前田 俊之さん 千葉県在住 50歳
父の思いを胸に、海を守る
○…入庁して30年。石垣島からの異動で、初の署長として川崎の地に赴任した。陸上とは異なり自由の利かない海上環境。「海の安全を守ることは当然だが、署員には自身の安全を第一に考えてほしい」と指針を示す。一方、現場の声を大切にするボトムアップの姿勢も重視し、「風通しの良い組織づくりを目指したい」と穏やかに想いを語る。
○…川崎海上保安署が発足したきっかけは、1962年に起きた日本と外国の大型タンカーによる衝突事故。過密化する川崎港の海上交通安全を担保するため誕生した経緯がある。当時の事故状況が描かれた海図にそっと指を走らせ、「二度と繰り返してはならない」と、海の「道」を守る者としての強い使命感をにじませる。
○…大阪府出身。3人兄弟の次男として育った。進路を決めたのは父親の「人を守る仕事に就け」という一言。現在、兄は海上自衛隊、弟は入国警備官として社会を支える。「父の望みは叶ったが、勤務シフトが全員バラバラで、年末に家族が揃わないのが父の悩みでね」と目尻を下げて微笑む。
○…海上保安大学校での厳しい訓練を経て、初着任した青森で転機が訪れる。2年目、防波堤で動けなくなった釣り人を救助。後日、その遭難者が感謝を伝えるため保安署を訪れてくれた。今でも鮮明に覚えているその光景が、今に続く責任感の礎だ。転勤が多く全国の保安署を渡り歩いてきた。「長年の単身赴任や海上勤務を支えてくれた妻には感謝しかない」と、現在は2年ぶりとなる家族との時間を大切に過ごしている。隣の横浜市では、国際イベントも多く、「力を合わせて日本の海上を水際からしっかり守っていきたい」と力を込めて語った。
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