今月29日、一つの店がその役割を終え歴史に幕を下ろした。「居場所づくり」を目的としたNPOが営むカフェとして地域に住む人の憩いの場になって15年。町田市内で当初目指していた目的を達成し、全国区となった活動のため、カフェ事業に終止符を打った。
NPO法人れんげ舎が運営してきた町田市成瀬のカフェ、金魚玉珈琲の開店は2003年。NPOが運営するカフェとしては古い方だ。誰かと会ったり、一人で過ごしたり、「自分を取り戻す、そんな場所として使ってほしい」という思いを込め、地元の人が気軽に立ち寄れるカフェを開いた。
当初目指していたのは「町田市内での活動の認知向上」と「財政基盤づくり」。スタッフにカフェ好きが多かったことで運営に乗り出した。ユニークなネーミングもそうだが、ここの特筆点が店として本物に力を入れたこと。店内の雰囲気、メニュー作りなど。「例えば100円なら多少おいしくないコーヒーでも文句は出ない。でも300円で出すなら、納得してもらえるものにしないと」と長田英史代表は話す。
最初は大変だった経営も店を支える人の意見を取り入れる形で波に乗る。厨房で作る看板商品の「瓶詰めプリン」はテレビ番組でも取り上げられて大ヒット。通販やデパートでも販売した。
団体としての活動範囲が都内全域、全国へと広がる中、れんげ舎は“もっと大切なことのため”にカフェ事業の卒業を決めた。しかし「これからの活動においてもこういう場所は必要だと思っています。次は都心になるかもしれませんが、同じようなものをつくる可能性はあります」と長田代表。金魚玉珈琲の奇跡の復活はあるかもしれない。そんな含みを持たせて静かに話を締めくくった。
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