八王子芸者衆が苦境に立たされている。新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、飲食を伴う宴席はほとんどなくなり「接待業」である芸者衆の需要は大幅に減った。また収入源の一つであるイベントの開催も少ない。そんな中、支援のためにとインターネット上で資金を募るクラウドファンディングがスタートした。
接待業 コロナで活動できず 初のクラファン
起案者は芸者衆も所属する八王子三業組合(南町)。芸者衆にとってクラウドファンディングは初の試み。大手サイト「キャンプファイアー」にてプロジェクト「八王子芸者衆を応援してください」として1月26日にスタートし4月15日まで支援を受け付けている。
「八王子の御座敷文化を何とか残して参りたく、どうか皆様のお力をお借りしたいと思い、試みました」。クラウドファンディングの実施について、めぐみさん(置屋ゆき乃恵)はそう説明する。
芸者衆は「席を取り持つ」中で踊りや舞を提供する「接待」、いわゆる「御座敷」を生業としている。八王子の花柳界は明治時代、織物が栄えたことがきっかけで、その商談の場として誕生した。組合には現在18人の芸者衆が在籍しており、その文化の継承に努めている。
ただ、コロナ禍により昨年の春から、「その場」はほとんどなくなった。「思うような活動ができず深刻な事態」とめぐみさんは話す。「感染症の影響で皆様の意識から御座敷文化が薄れていってしまっています。命に代えることはできないので、仕方はないとは思いつつも、胸中は複雑です」と打ち明ける。
をどり運営費に
クラウドファンディングを始めたのは「今だからできること」「こんな時こそ笑顔を忘れずに」と前向きに考えたからという。ネットで展開するため、地元だけでなく全国から広く支援を受けることもできる。プロジェクトでは目標金額を500万円に設定。集まった資金は昨年5月から今年5月に延期となった「八王子をどり」の開催に充てる計画だ。
八王子をどりはいちょうホール(本町)を会場に「ソーシャルディスタンスを保つため席数を半分」にして開催予定で、そのためチケット収入は半減する。「頂きました資金は開催のためのお稽古代、舞台運営費などに使わせていただきたいと思っております」
支援金は5000円から受け付けており、支援者へのリターン(返礼品)は芸者衆オリジナルグッズなど。2月6日時点で41人から120万円以上の支援がある。支援者の一人は「今は大変な苦境だと思う。芸者さんは八王子の華。ずっと残ってもらいたいので応援したい」と話した。
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