福島県の伝統行事「相馬野馬追」とよこすかみこしパレードのコラボを実現させた 山本 夏江さん 追浜町出身
馬がつないだ数奇な縁
○…「昔から、馬や牧場には縁があるんです」。被災地の騎馬会での交流をきっかけに、福島県の伝統行事「相馬野馬追」を、横須賀市の一大イベント「よこすかみこしパレード」に招待した。「まさかこんな大がかりなことになるなんて」。米海軍基地で働く傍ら、協力企業の取付けや被災地との連携など、その準備をほぼ一人でこなした。
○…地元で生まれ育ち、茨城大学に進んだ。東日本大震災のあと、かつての学友らを訪ね何度も被災地に足を運んだ。「あの頃、『頑張れ』は禁句だった。あれ以上、何を頑張れと…」思い出すと目頭が熱くなる。そんなとき、馬の世話などを手伝っていた被災地の騎馬会で、横須賀から来たことを知った人から「米軍や海上自衛隊には震災時世話になった。横須賀の人たちに感謝の意を伝えたい」という声を聞いた。すぐに思いついたのは、市街地が会場で、多くの見物客で賑わう「よこすかみこしパレード」に、彼らの誇りでもある「相馬野馬追」を招待すること。1年にわたる計画が始まった瞬間だった。
○…幼少期から活発な性格で、飛行機のパイロットになるのが夢だった。工学部のある大学に進むが、学科の男女比は100対3。圧倒的な男性社会ながら、「そんなことを気にしていてもしょうがない」と持ち前の明るさであっけらかんと話す。理系女子”リケ女(じょ)”の先駆けとして東京大学の研究員となり、約10年原子力発電所の設計などに携わった。
○…騎馬隊を招待するにあたり、協力を求めた企業は100社以上。門前払いされることもあったが、「いつかは理解者が現れる」、そう楽観的に信じてひたすら電話をかけ続けた。その地道な努力の甲斐あり、日米5社からの協力をこぎつけ、騎馬武者の”出陣”を叶えた。勇壮な武者たちの姿は、きっと多くの人を勇気づける。「一度決めたら最後までやり通す」。有言実行、ここに極まれり。
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