三崎警察署の署長を務める 太田 広明さん 上宮田在住 53歳
「弱者を守る存在に」
○…職員約120人をまとめる第74代三崎警察署長に今春就任した。積極的に功績を称えるのが、部下に対する指導の心得。張り詰めた緊張の糸を解きほぐし、一人ひとりのパフォーマンスを上げる。着任から1カ月が経過。少しずつ課題も見えてきた。「住民同士の繋がりが強く、警察にも協力的で、配属されたい署員が多い三崎署。皆さんの意見や要望をいかに業務に反映させていくか。それには私も住民の1人として、信頼関係を築いていかなくては」
○…横浜市戸塚区出身。高校に入ると、当時のバンドブームに乗ってステージでギターをかき鳴らした。進路を決めようとした頃、交通量の多い道路を渡れずにいた障害者をそっと優しく誘導する警官に釘付けになった。「勇敢な姿に心震えた。ヘビメタの化粧をしていたけれど、心の奥底は”純”だったんです」と照れ臭そうに笑う。
○…1987年に県警入り。機動隊や警察庁へ出向して人材育成などを歴任。直近は本部で生活経済課を務めた。なかでも印象深いのは、横須賀署で少年犯罪撲滅に力を注いだ90年代後半、私服潜入捜査員として勤務したこと。シンナーなど薬物犯罪やナイフを使った恐喝事件など、非行に走る子どもに真正面から向き合った。「くまなく街を歩いて靴底を減らした。どの部署でも努力を怠らなかった経験が今の自分を作っている」
○…2人の息子は成人となり、自宅近くの三浦海岸を散歩するのが休日の楽しみ。「でも、時には自分の身を犠牲にして人を守らなくてはならない」と、気を引き締めながら歩く。警官が巡回した地域の家々に投函する「パトロールカード」も徹底し、安心安全を目に見える形で示す。「常に弱者に手を差し伸べられる存在でありたい」
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