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公開日:2017.08.04

旧加地邸
国の登録有形文化財に
ライト風住宅の秀作評価

  • 遠藤新が設計した旧加地邸(葉山町一色/町教委提供)

 国の文化審議会は先月21日、葉山町一色の「旧加地邸(きゅうかちてい)」を登録有形文化財にするよう文部科学相に答申した。保養地として多くの邸宅が建てられた葉山の中でも建築的価値が高いとされる建物で、近く答申通り告示される見込み。国登録有形文化財は町内では「旧東伏見宮別邸」=堀内=に続き4例目になる。

 設計したのは大正から昭和初期にかけて活躍した建築家、遠藤(えんどう)新(あらた)(1889-1951)。世界的巨匠として知られる米国のフランク・ロイド・ライト(1867-1959)の高弟として知られる。

 建物は三井物産初代ロンドン支店長を務めた加地利夫の別邸として1928(昭和3)年に竣工。延べ床面積は364・38平方メートル。地下1階、地上2階建てで、寝室や書斎、浴室、食堂といった生活空間のほか、ビリヤード室や相模湾を眺望する展望室なども設けられている。各室の照明や家具など調度品も建物の総合性を重視した遠藤が手掛けた。開発で歴史ある建物が失われる中、保養地、別荘地文化の様相を今に伝えている。

 町教委によると大谷石の多用や水平に伸びる軒など「プレーリー様式」でまとめるライト風住宅の秀作で、現存する遠藤建築の中でも重要な作品という。

 建物は一部イベントを除き、非公開。答申には38都道府県244件、県内では5カ所19件が入った。

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