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逗子・葉山 スポーツ

公開日:2026.07.17

胸に刻んだ名将の「金言」 笠間健史さん(横浜高校卒 ・35歳)

  • 強肩を生かして内外野を歴任した

    強肩を生かして内外野を歴任した

  • 人命救助の最前線に立つ

    人命救助の最前線に立つ

 全国から猛者が集まる超名門の壁はただ、ひたすらに厚かった。幼少期から白球を追いかけ、逗子シニアで磨かれた鉄壁の守備がスカウトの目に留まったが、告げられたのは「レギュラーでは出られない」という一言。それでも「負けたくない」と憧れの横浜高校の門を叩いたが、1学年下にのちにプロへ進む筒香嘉智選手らが台頭すると、レギュラーの座はさらに遠のいた-。

 冬には横浜名物「ダービー」と呼ばれる地獄の外周走や、終わりが見えないノック「トリキリ」に明け暮れる猛練習の日々。必死に食らいついた。練習試合でも結果を出した。だが、”9人”の座は遠い。「なんで俺が選ばれないんだ」。そうして態度を悪くしたことで、グラウンド整備や用具修理などしか許されない「赤帽」の謹慎処分を数カ月間受けるなど、心が荒んだ時期もあった。

 そして迎えた最後の夏。苛烈ともいえる3年間の集大成だ。しかし、告げられたのは”ベンチ外”。その現実に「辞めてやる」。直訴した笠間さんに、当時の渡辺元智監督が掛けた言葉が「やがて人生の勝利者になれ」だった。だが、当時は全くその真意が理解できなかった。

 そんな心境の中でも大会は進む。「早く負けてくれ」とさえ願った。だが、3年間を共にした仲間が必死に汗を流す姿に感化されてか、気が付けば最後はスタンドから涙を流してエールを送っていた。

 高校卒業後、勉強に一念発起し、逗子シニア時代の恩師の背中を追って消防吏員への道を切り拓いた。現在は逗子市消防本部の救助副隊長として人命救助の最前線に立つ。

 「消防も1人では人を助けられないチームワークの世界。規律や礼儀、組織のために我慢する力。全てあの厳しかった高校時代にもがき、学んだものです。こうして誰かのために汗を流せる大人になれた今、ようやくあの言葉の意味が少し分かった気がします」

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