神戸屋キッチンルミネ藤沢店 長田有起さん世界でⅤ2 パン職人の最高峰に
パン職人世界一を競う「第2回マスター・ド・ラ・ブーランジェリー」が3月8日から12日までフランス・パリで開催され、神戸屋キッチンルミネ藤沢店の長田(ながた)有起さん(34)が「パン部門」で優勝した。2012年に日本代表の一員として出場したベーカリーW杯「クープ・デュ・モンド」での団体戦優勝に続き、世界大会で2冠を果たした。
「マスター・ド・ラ・ブーランジェリー」(通称マスター)は、世界18カ国から選抜された22人のパン職人が、「パン部門」「ヴィエノワズリー部門」「飾りパン部門」で世界一の称号を競うコンテスト。長田さんは、2年前の「クープ・デュ・モンド」で日本代表メンバーとして団体戦優勝を果たし、日本からは計3人が同大会への出場権を獲得していた。
パン部門では、初めて使う機材や窯という環境の中、小麦粉と水、塩、イーストといった限られた材料で、規定の8品目を8時間以内に仕上げ、技術やスピードを競った。製造にあたって、形状から長さ、数量や重量、焼き方など細かい規定があり、審査基準の対象となった。
大会4日目に出場した長田さん。連日と比べて冷え込み、想定よりも会場の室温が上がらなかったことから、パンの発酵がうまく進まず、途中で発酵室の温度を上げるなどのハプニングもあったという。また、日本で使用する小麦粉とは異なり、生地が伸びにくかったため、生地を締め付けずに巻くなど、高度なテクニックが必要だった。
制限時間内に作業を終えられない選手が多い中、長田さんは30分の余裕をもって作業を終了。260・80ポイントを獲得し、世界の最高峰「マスター・ベイカー2014」に輝いた。小麦粉と塩というシンプルなパンだけに、ごまかしが利かず、発酵の見極めと、職人としての経験が勝因を分けた。「スピードで群を抜いていたのが勝因だと思うが、もっと良いものができたのではと課題も残った。自己採点では60点ほど」と話す。
日々の練習が実を結ぶ
長田さんは高校卒業後、神戸屋キッチンへ就職。入社当時から、世界大会へのステップとなる国内代表戦「ルイ・ルサッフルカップ」を目指してきたという。「絶対に出場する」と周囲にも宣言し、通常勤務後に毎日、自主練習に励み、数年前にその夢を叶えた。「早く帰りたいなという日も、しんどいなという日も続けてきたことが力になった。正直、世界一になるとは想像もしていなかったが、他の代表メンバーに引っ張られて、ここまで来ることができた」と笑顔を見せた。今後は世界の経験を生かし、若手育成に注力していくという。
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