5月1日に藤沢市教育委員長に就任した 井上 公基さん 日本大学生物資源科学部教授 63歳
森を見つめる眼差しで
○…藤沢市教育委員会の委員長に5月1日、就任した。日本大学で教鞭をとり続け35年、森林資源科学のプロフェッショナルとして学生たちに森の役割を伝えてきた。自然再生、森林のCO2吸収、バイオマスエネルギーなど研究も多岐にわたり、森を知り尽くす人だ。「大学一筋なので、義務教育課程で子どもたちを育てる経験が少ない。勉強をしながら一生懸命役に立ちたい」と謙虚に語る。
○…子どもとの触れ合いは10年ほど前、「子ども樹木博士認定活動」を始めたことがきっかけ。木の名前を覚えながら森林に親しんでほしいと、藤沢市内の小学校で出前授業を行った。これまで、1万人を超える児童を「樹木博士」として認定してきた。また、環境イベントにも参加し、自然界の生態系や森の大切さを伝えている。「森の中で太陽の光を浴びて、一緒になって遊んでいる。子どもたちの笑顔が見られるのは嬉しい」と微笑む。学ぶことの楽しさを変わらぬ思いで伝えてきた。
○…生まれは山口県。小学生のころ、日曜日になると父に連れられ山の管理を手伝いに森へ。動物の捕まえ方や炭の焼き方を教わりながら「森は生活の一部だった」と振り返り、まさか大学で本格的に学ぶとは思っていなかったと話す。専門は森林利用学。「森を持続させ、森のシナリオを創る」をキーワードに、林材生産や生物多様性など目的にあった森林をつくり、管理に取り組んでいる。「私たちの仕事場は森。現場でリフレッシュできる恵まれた仕事だと思う」
○…趣味は、山歩きにゴルフ。休みの日は家族で近所の低い山に出かけることも多いのだとか。好きな言葉は中学校の教諭から教わった「未見の我を賛美せよ」。「子どもたちには、まだ見ぬ自分の能力を信じて学んでほしい。自分を知ることも勉強で大事なこと」。その眼差しは、子どもの心の中に豊かな森を見ているように優しかった。
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